2012年6月6日水曜日

第332話 ZooでZooっと飲んでいたい (その2)

肩でそよ風を切って乗り込んだ上野動物園。

♪  肩で風切る 王将よりも
   俺は持ちたい 歩の心 ♪
       (作詞:関沢新一)

たった今、切ったそよ風の逆襲にあっている。
そよ風がサル山から運んだ匂いはけっこうなケモノ臭だ。
以前、青山のビストロで山シギの丸焼きを食べたとき。
ナイフを入れた瞬間に立ち上がった異臭に愕然とした。
相方がすかさずズバリと言い当てたっけ。
「上野のサル山の匂いだネ!」―まさしくであった。
まっ、考えようによっちゃ、この臭気、
重めの赤ワインに合わんこともない。
(ホントかよ?)

風向きが変わったせいか、嗅覚が馴らされたためか、
そのうち気にならなくなり、ビールからワインに移った。
急に周囲が騒がしくなったのは幼稚園児の群れだ。
サルよりよほど騒々しい。
もの静かな園児の群れというのも不気味だがネ。

ワインのボトルが半分になって
食糧、いわゆるつまみが尽きた。
気の合う同士が酒を酌み交わすとき、
つまみはさして重要ではない。
それがのみともというものだ。

ずいぶん昔に池波正太郎が書いていた。
京都の南座近辺だったかな?
新国劇の辰巳柳太郎とバッタリ出会い、
料理屋の2階で日本酒を飲み始めて
結局は夜を徹したのだと。
その間、酒の友はわさびと醤油だけだったんだと。
何だかんだと能書きタレちゃいるが
チューブわさびでパックの刺身を食ってる、
咬みつき亀こと、友里征耶にゃ、
こんな粋な芸当は逆立ちしたって出来ゃしめェ。

さっきまでそよいでいた風が木々を揺さぶりだした。
ほどなく雨がパラついて東園食堂へ避難する。
ワインのボトルがカラになり、今度は生ビールだ。
園内で販売されているアルコール飲料は生ビールのみ。
小さめの中ジョッキが1杯500円で銘柄はキリン一番搾り。
さわやかな午後のひとときを過ごし、友を上野駅に送った。

Zooでの午後飲みはクセになること間違いナシ。
惜しむらくは最終入園時間16時のシバリで
17時には退出を余儀なくされる。
せめて18時までは飲んでいたいのになァ。
だが、Zoo側も粋な計らいをしてくれており、
7、8月には2時間延長日が何日かある。
お盆の前後は3時間延長日さえも。

それに備えたわけではないが
この2日後に再び舞い戻り、
年間パスポートを購入しちゃいました。
これにより広大な恩賜上野動物園が
わが家の庭になりましたとサ。
メデタシ。