2012年6月28日木曜日

第348話 思いがけずに会った人

久々に週刊「FRIDAY」のスタッフと打合せ。
編集のK原サン、ライターのS子嬢と
3人で出向いたのは「千駄木 露地」なるイタリアンだ。
不忍通りに面した和風のたたずまいが目を引く。
ガラス張りだからバーとダイニングが外から見渡せ、
客入りはまことによろしいようである。

生ビールで乾杯と同時に
バルバレスコの抜栓をお願いしておく。
最初に運ばれたのは自家製のフォカッチャと
トマトがたっぷり乗った大きめのブルスケッタ。
何もなければ口ざみしいからなァ。

アンティパスト(前菜)を何種類かいただいた。
タコのアフォガート(トマト煮)はブツ切りのサイズが豪快。
しらすのフリッタータはちょいと小ぶりの韓国チヂミ風で
野生のルッコラがよき脇役をはたしている。
穴子のフリットは残念ながら江戸前天ぷらに遠く及ばない。

この夜はメインを頼まずにパスタで仕上げた。
ホタルイカのショートパスタ、鮎と松の実のタリオリーニ、
ボローニャ風タリアッテレの3皿である。
いずれも水準をクリアしているものの、
舌に感動を与えるほどではなかった。

男たちがワインを空け、
S子嬢がドルチェに舌鼓を打っているまさにそのとき、
K原サンの携帯に着信ありき。
電話の主と言葉を交わした彼曰く、
その御仁が二次会に現れるとのこと。
無論、われわれに異存などなく、
千駄木駅そばの居酒屋へ移動した。

家族経営の「にしきや」はかなりのにぎわい。
小上がりに案内され、飲み直しの開始だ。
ほどなく待ち人が到着。
何とこの方は今をときめくU澤J子サンであった。
「世界屠畜紀行」の著者といったら
お判りになる読者も少なくないハズだ。

自分で飼育した3匹の豚を屠畜場に送り、
晴れて目出度く召し上がった世紀の偉人。
食したときに彼らが自分の肉体に
戻ってきてくれたと宣言した女史である。
先ごろは「飼い喰い 三匹の豚とわたし」を
岩波書店から上梓されてもいる。

出会いの数日前に友人から贈られた、
彼女の「世界屠畜紀行」を読み始めたばかり。
この出会いは衝撃的であった。
”自豚実食”の事実を耳にしたときはドンビキしたけれど、
いざ酒を酌み交わすと真っ当な正常人で一安心。
しかるに中国人もびっくりのかような”食文化大革命”は
われらフニャチン男にゃ、逆立ちしたってできゃしない。
真似はしないが偉大なり。

「千駄木 露地」
 東京都文京区千駄木2-42-2
 03-5814-8087

「にしきや」
 東京都文京区千駄木3-34-7
 03-3828-0935