2012年6月22日金曜日

第344話 映画漬けの一日 (その2)

ハマの悪玉ボス・山茶花究を殺って
ルリ子の仇を討ったあと、
裕次郎もまた港・横浜で死ぬ。

映画「夜霧のブルース」が終わるやいなや、
すぐそばのチャンネルに跳んだ。
TVガイドをチェックしたら
市川雷蔵の「陸軍中野学校」が放映中だったのでネ。
もっとも後半だけしか観られなかったが・・・。

1966年の大映映画はのちにシリーズ化され、
これが記念すべき第1作。
複数回観ているにもかかわらず、
雷蔵の匂いと画面の雰囲気が好きだから
観ていてちっとも飽きない。
まるで音楽を聴くように映画が観れている。

中野学校は戦前・戦中に実在した、
帝国陸軍のスパイ養成学校。
発祥の地は靖国神社のある九段で
その後中野に移転したのだ。

学校のあった場所は現在、
東西南北をそれぞれ中野通り、杉並区との区境い、
JR中央線、早稲田通りに囲まれており、
そこにはサンプラザ、市役所、税務署、
東京警察病院、野方警察署などが林立して
いかにも諜報部員養成所跡にふさわしいものものしさ。

雷蔵のフィアンセ役の小川真由美が白眉だ。
この女優には風変わりな魅力を感じる。
すべてを見透かしたうえで
さげすむような冷たい視線が
乾いたエロスを発散している。
マゾっ気のあるオトコならイチコロではないか。
金魚にまつわる信じがたいエピソードの持ち主ながら
気色悪いのでその逸話は語らずにおく。

文学座時代の彼女は
杉村春子の後継者とまで言われた。
40年前の1970年前後は
昨年亡くなった細川俊之の妻であった。
その後、橋爪功と婚約していた時期もあったが
のちに解消している。

最近ちっとも見掛けないと思っていたら
いつの間にかちゃっかり得度なんぞをしておった。
真言宗の尼さんである
仏門に入った人をつかまえてちゃっかりもないもんだが
本人は女優を廃業したつもりがないという。
驚いたことに六水院吉祥寺の教場長に収まっているのだ。

真由美が雷蔵に薬殺されて映画は終わる。
ここでしばし朝食休憩したものの、
すぐにまたひかりTVの映画チャンネルに戻った。
今度は1955年の日活映画、「続・警察日記」。
やるときはやるし、観るときは観まっせ!
何せ、凝り性なもんでネ。

=つづく=