2012年9月4日火曜日

第396話 物忘れの達人 (その1)

近頃、ってゆうかァ~、子どもの頃からだから
”三つ子の魂百まで”の世界なんだが物忘れがヒドい。
人や店の名前が出てこなかったり、
予定や約束をほったらかしにしたりはしないけど、
持ち物の置き忘れが多発している。
1ヵ月ほど前にも当ブログで
小学生時代のハーモニカ置き忘れ事件を白状したが
半世紀を経て、いまだに直っちゃいない。      

先週の金曜日、夜の11時には自宅にいた。
何気なく一日を振り返ると、どうも歩き方が足りない。
歩き不足を補うため、夜の散歩に家を出た。
足の向くまま、気の向くままに1時間程度歩くつもりだ。

この時間帯はコンビニと牛丼屋以外に
開けてる店はほとんどない。
東京の街はいつからこんなふうになったかなァ。
とまれ、明るさにひかれて飛び込んだコンビニで
廉価なレトルト惣菜に目がとまった。
漠然と興味が湧き起こり、
鳥肉のミートボールとポテトサラダを購入した。

物事にはハズミというものがある。
つい、隣りの棚の水ようかんに手がのびた。
普段はめったに食べない甘味なのに
蒸し暑い夏の夜のこととて
冷たい水ようかんで
舌先に涼を呼び込む気になったようだ。

コンビニ袋をブラ下げ、なおもブラブラ・・・。
すると、「D」という名の居酒屋の前で足がとまった。
日付けが変わろうとしているのに営業中の札が出ている。
店頭の品書きがなかなか独創的で
そんじょそこらの酒場にはない魅力を感じた。
誘われるように踏み入って過ごすことしばし・・・。

金曜限定の穴子の活け造りに心惹かれて即注文。
いや、ちょっと待て、この店のことはまた稿を改めたい。
三十代前半の店主と話が弾んで
店を出たのが午前2時すぎ。
思わぬ長居をして迷惑を掛けた次第。

帰宅後、われに返ると買ったはずの袋が見当たらない。
「D」に電話を入れたら店主曰く、
忘れ物に気づき、あとを追ったものの、見失ったとのこと。
こりゃダブルで迷惑を掛けちまったな。
まあ、腐るものでもないし、オマケに冷蔵しておいてくれる由。
もっともいまだにピックアップしてないがネ。

それはそれとして、2日後にまたやってしまった。
舞台はちょくちょく出向く北千住。
ことの顛末はまた明日にしましょう。

=つづく=