2012年9月21日金曜日

第409話 関八州を見廻って (その2)

大宮駅前の「いづみや」で真昼の生ビールを飲んでいる。
瓶の銘柄は何じゃらホイと冷蔵庫をのぞいたら
これまたサッポロのラガー、いわゆる赤星だった。
大瓶で510円はずいぶん安いや。

ラーメンのあとだからつまみはいらないが
そうもいかずに所望したのがコレ。
ハテ、これは何でありましょう?
とんかつだろうってか?
いいえ、これは金360円也のイカフライなんざんす。
こんなカタチの1枚揚げはきわめて珍しい。

接客のオバちゃんとオネエちゃんがフレンドリーで
居心地よく、なかなかいい店だわい。
あらためて周りを見回すと、ほぼ全員が単身客。
友だちもいなけりゃ、恋人もいない連中ばかりかな?
ここは哀しいオトコの吹き溜まりかい? 
いや、そうでははあるまい。
独り酒場で飲む酒にはそれなりの楽しみがあるものだ。
細長いテーブルは相席が苦にならず、独り飲みに適している。

ところ変わって上州は桐生の町にやって来た。
映画と同じく、ブログもアッという間に舞台が変わる。
高崎・伊勢崎を素通りしたのは単なる気まぐれ。
3年ぶりの桐生の町を歩きたくなったのだ。

1時間ほどほっつき歩き、汗ビッショリになって
3年前にも訪れたレトロな「立田野食堂」に到着した。
来てはみたものの、空腹感のクの字もない。
今しばらく渡良瀬川のほとりでも散策してみるか・・・。
と、そのとき視野に入ったのが向かいの「高野商店」。
忠治漬で有名な老舗の漬物店である。
フラフラッと道路を渡り、
貼り紙の”梅の奈良漬”に惹かれ、購入した次第だ。

帰宅後、味わうと奈良漬にはまだ若い。
梅の実の粕漬けといった感じ

見ているうちに荒木一郎の「梅の実」が聴きたくなった。
ちょいとデスクを離れてCDラックへ。

 ♪  梅の実がなった この小さな朝に
    青く冷たい 朝もやの中に
    梅の実は風の ゆりかごに眠る
    やがて生まれる 子どものように
    あの空 あの雲 遠い調べよ
    山の頂きの 白い雪    ♪
         (作詞:荒木一郎)

現実の桐生に戻ろう。
梅の奈良漬をぶら下げて渡良瀬川と反対の道を行った。
この時点で「立田野食堂」での晩酌も消えたことになる。
町のはずれを歩いているうち、
聞き覚えのある店に遭遇した。

=つづく=

「いづみや本店」
 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-43
 048-641-0211

「高野商店」
 群馬県桐生市東6-6-21
 0277-45-0746