2014年1月16日木曜日

第753話 はじまりは黒磯のたぬき

2014年も半月が経過してしまった。
早いものですなァ。
年末年始、前年に引き続き、東北地方を訪れた。
なぜか昔からゆかりある土地が多く、
今回はそんな街々と旧交を温める旅でもあった。

赤羽発の普通列車を最初に降りたのは
栃木県の北のはずれ黒磯。
ときに12時03分だった。
およそ30分の乗り継ぎ時間を利用して腹ごしらえである。
朝、出掛けに麦茶を飲んだだけだからはなはだ空腹だった。

駅舎を出ると正面に真っすぐに商店街が走っているのが見える。
視界をさえぎる高い建物がないので空が広い。
ホンの数分、歩いただけで3軒の日本そば屋をみとめた。
駅の真向かいに相対している店舗は
いかにもなァという感じ・・・避けることにする。

結局、一番地味な店構えの「そば処丸山」へ。
先客はゼロ名である。
これまた地味なオバちゃんがマスクをつけて出てきた。
真ん中に石油ストーブが紅く燃えている。
熱い汁ものが欲しくてたぬきそばをお願い。
厨房で動いているのは接客のオバちゃんの娘さんだろうか。
客はほかにいないのにずいぶん忙しそうだ。

天丼やらざるそばやら・・・おっと、アレは何だ?
品書きをチェックすると、豚の生姜焼きであるらしい。
やや! おそらく5~6人前の食事を
親子して外に運び出し始めたぞ。
そういやあオバちゃん、
出来上がった料理に一つづつラップを掛けてた。

たぬきそばの注文から早や15分経過。
そうこうするうち客が次々に来店して店内はほぼ満席状態となった。
こちらも時間が気になりだしたが
他の客にはお茶も出ていないどころか、
そもそも注文すら通っていない。

12時23分、たぬき野郎が湯気を立てて到着した。
時間節約のため、CODで支払った580円である。
ところがこのたぬきが熱いのなんのっ!
おまけにJ.C.はウチの猫より猫舌ときたもんだ。

何とか、やや太・平打ちのそばをたぐり寄せ、
つゆは二すすりしたか、しないかの憂き目を見る。
揚げ玉なんざ、ほとんど手付かずだから、
多少油っ気のある汁ナシかけそばを食ったようなもんだ。
何だか旅のスタートからつまづいた感じ。

トドメは駅の階段だった。
ガラにもなく先のとんがった靴を履いてたものだから
ものの見事にけつまづいた。
危うくお手つきで一敗地にまみれるところだったぜ。
つゆにも揚げ玉にも未練を残してきたせいだろか?

 ♪未練心につまづいて  落とす涙の  哀愁列車  ♪ 

 ってか。?

さて、次の目的地は福島の郡山だ。

=つづく=

「そば処 丸山」
 栃木県那須塩原市本町5-22
 0287-62-0257