2014年1月23日木曜日

第758話 みちのくの麺処 盛岡へ (その2)

盛岡名物のじゃじゃ麺は
中華麺のジャージャー麺由来であろう。
うどんみたいな麺の上に肉味噌が乗っている。

その発祥の店、「白龍本店」にやって来たものの、
ゲッ、何だヨ、この行列は!
人数を数えてみたら25人の老若男女が寒空の下、
ひたすらおのれの順番を待ちしのんでいる。

根性ナシのJ.C.は瞬間ギブアップ。
明日は”新年おめどとうございます”の年の瀬に、
何の因果で一皿のキワモノ麺のために並ばなきゃならんの?
ここの麺はそんなに旨いのかい?
疑問の答えを見い出せぬまま、盛岡の人気店を立ち去った。

冷麺にフラれ、じゃじゃ麺にソデにされ、
異国の街をさまよう男一匹、どこへ行ったらよかんべか。
わんこそばなんざ食いたくないし、
第一、あんなの独りで食ってるところを他人に見られてごらんなさい。
アタマがおかしいと思われるに決まってる。
時刻は14時前、ちょいとばかり早いが、大つごもりにつき、
晩酌はそば屋でと下調べしてあった「直利庵」へ文字通り直行だ。

岩手銀行(旧盛岡銀行)の旧本店本館が立派な姿を見せている。
明治44年に建てられた赤煉瓦作りに品格が漂っている。
目抜き通りに面したものと早とちりした日本そば屋は1本裏の通り。
よって2ブロックほどゆき過ぎて、
こりゃおかしいゾと気づいたところに折りよく警察署があった。
交番ならまだしも警察署で道を訊ねる者は少なかろうが
立ってる者は親でも使え! 建ってる物は警察署でも使え!
で、まいりましょう。

若い警官が対応してくれ、オーバーランした道程を舞い戻る。
舞い戻ったらヤんなっちゃうぜ、またもや行列ときたもんだ。
いったいどうなんってんの? 盛岡って街は!
おそらく大晦日がその因と信じたい。
3軒目となったら、さすがの根性ナシもあきらめきれない。
意をけっして最後尾に並んだ。

並んだはいいけれど、回転率が悪いのなんのっ!
寒い店外からうらめしげに中をのぞくと、
酒を飲む長っちりは、たかだか1組か2組。
そりゃそうだろう、みんなクルマでの来店だもの。

速やかな配膳を妨げているのは次から次へと現れる持ち帰り客。
そうだよなァ、一年で一番、そばが食される日だもんねェ。
しかも店内食事と持ち帰りを同じデシャップでさばくから
混雑に拍車が掛かり、時間だけがいたずらに過ぎてゆく。
待つこと40分、やっとこさ席にありつけましたとサ。
やれ、やれ。

=つづく=