2014年1月30日木曜日

第763話 福島の”亀”はホテルに変身

元日は仙台でのんびり過ごし、
翌二日には帰京の列車に乗り込んだ。
東北本線と宇都宮線を乗り継ぐ普通列車のノロノロ旅。
好きなんだな、これがっ!

仙台駅を発ってしばらく、強風のために停車を余儀なくされる。
その後、たびたびかような事態に巻き込まれ、
福島では連絡の列車に乗り遅れた。
よって1時間半ほど身体が空いたが、これはこれでよい。

こんなこともあろうと、心当たりの場所に向かう。
駅から徒歩5分ほどの大亀(おおかめ)である。
今を去ること47年、高校一年生のサッカー合宿で
福島を訪れたときにお世話になった宿だ。
当時は旅館だったが今は建て直されてビジネスホテルになった。

1階にレストラン「トータス」があるから一杯やるつもりで赴いた。
タートル・ネックのタートルは英語で海亀、
店名のトータスは陸亀のこと。
晩めしどきなのに店内はもぬけのカラで
客はゼロ、スタッフも一人のみ。
厨房にもう一人、料理人がいるようではあったがネ。

ビールの中瓶に何か軽いものをと、春巻を所望する。
これが2本で200円と東京では考えられない値段。
もっとも味のほうもそれなりだから、何となくフにおちた。
建物が変わり、懐旧の情とて湧かないが心休まる空間ではあった。

しばらくするとオジさんが独り現れ、カウンターで晩酌を始めた。
焼酎のお湯割りに料理を2品ほど注文した模様。
地元の常連客なのだろう、スタッフと楽しそうに歓談している。
正月二日だから大手チェーン以外の個人経営店はまだ休業中だ。

つまみを軽めに抑えたのは仙台の友人が登米牛のすき焼き重と
みちのく鶏のグリルのチキンバーガーを調製してくれたから。
豪勢な晩めしを車内でいただくことになる。

ところがここでJ.C.、大失態。
福島発の列車には間に合ったものの、ビールを買い忘れた。
ビールどころか飲みものを調達し損なった。
よって、せっかくのご馳走なのに美味しさ半減の憂き目。
黒磯と宇都宮の乗り継ぎの際も購入かなわず、
上野まで飲まず、飲まずの旅と相成った。

夜更けの上野駅に到着。
アメ横あたりならこの時間でも開けてる酒場があろうが
しばらく留守にしたので愛猫が心配だ。
急ぎ帰宅してゆるり水入らずの晩酌である。
こちらは生たらことわさび漬で500ml缶を一気に2缶。
相方は好物の鳥ササミ缶にまっしぐら。
普段はデッカい目をこのときばかりは細めていましたとサ。

「トータス」
 福島県福島市栄町7-3
 024-522-8989