2014年7月8日火曜日

第876話 なぜに演歌は北へゆく? (その5)

さて、京都は新京極。
レコード店のあとは映画館だ。
足を止めたのは上映中の封切り映画、
「黒の奔流」の看板、ならびにポスターである。

監督は渡辺祐介、主演は山崎努と岡田茉莉子。
まだ初々しい松坂慶子も可愛い顔を見せている。
彼女の本格的デビューはおそらくこの作品ではなかろうか。

原作は松本清張の「種族同盟」で
清張モノといったら松竹映画のおハコ、
本作もご多分にもれない。

松本清張、山崎努、岡田茉莉子はそれぞれに好きだ。
この映画が封切られる6年前、J.C.は中学三年生だった。
夏休みに新大久保の海星学園で開講された、
東大学増教室に通っていた。

担任の先生に
「オカザワくんのオカはどっちの字?」―こう訊かれ、
思わず口をついて出たのが
「岡田茉莉子の”岡”です」―本人いたって真面目に応えたが
先生をはじめ、クラスの仲間にゲラゲラ笑われましたネ。
しかもそのときのクラスメートがJ.C.と同じ高校に進学し、
そこで言いふらしたものだから
しばらくは学窓の笑いものになっちまったぜ。

ヨタはさておき、「黒の奔流」である。
ヒマにまかせていつしか切符を買っていた。
映画のほぼ冒頭、
弁護士・山崎努と助手・谷口香が場末のラブホテルで
”事後”のけだるい時間と空間を共有している。
このときラジオから流れていたのが
藤圭子の「京都から博多まで」だったのだ。
情景と音楽とがピタリとシンクロナイズしていた。

以来、新京極を訪れるたびに
頭の中をこの曲が鳴り響くようになってしまった。
まるで条件反射ですな、こうなったら―。

好みの話題になると、
ついハナシが脇道にそれて駄文を綴ってしまう。
そろそろ本題に入らねばならない。

本題って何だったっけか? ってか?
あちこち回り道しているあいだに
読者とて何が何だか判らなくなったことだろう。
さもありなん。
それはまた、次話で明らかにいたしましょう。

=つづく=