2014年7月24日木曜日

第888話 レバのちょい焼き (その2)

葛飾の誇る焼きとんの優良店「ブウちゃん」にいる。
ただし、ここでは焼きとんとはいわず、もつ焼きと呼ぶ。
紺地に白く染めぬいた暖簾にも
大きく”もつ焼き”、小さく”ブウちゃん”と明記されている。

ここでJ.C.、はるか昔を振り返った。
わが記憶をたどると、
初めて焼きとんを食べたのは1960年3月20日。
以前、当ブログでもふれたが
日にちをピンポイントで特定できるのは大相撲のおかげだ。
その日曜日は3月場所の千秋楽。
結びの一番は互いに全勝の栃錦と若乃花である。
14勝無敗の横綱同士が千秋楽の結びで対戦するのは史上初だった。
この取組は現在、
浅草ウインズが建つ場所にあった新世界地下の温泉で観た。

浅草唯一の温泉で汗を流したあとに向かったのが
西浅草の今は無き「菊水」である。
これまた今は無き仁丹塔の裏手に在った、
「八ツ目鰻」のはす向かいに交番があるが
この脇の道が菊水通りだ。
大衆酒場がストリートに残す全国的に見ても
きわめて稀有なケースといえよう。

さて、葛飾・金町である。
「ブウちゃん」における焼きとんの部位の品揃えはかくの如し。

 レバ シロ ハツ ナンコツ 大ガリ タン
 ガツ カシラ コブクロ アブラ テッポー

大ガリというのは豚の咽喉部のこと。
アブラはカシラの周りの脂肪の多い肉片。
テッポーはシロ(小腸)の先の直腸だ。

J.C.の気に入りはもちろんレバ。
これだけはミニマム2本はいただく。
塩とタレのチョイスは断然タレがよい。
レバの特性に甘辛い醤油ダレが抜群の相性を見せてくれる。
しかもここのタレはサラリとして飽きがこないのがよろしい。

タン・ナンコツ・ハツなど、
豚の上半身はおしなべて塩がよく、
ガツ以下の下半身にはタレが合う。
この法則を頭の片隅に置いておくと、
焼きとん屋ではとても重宝するハズだ。

野菜串のネギ・シシトウ・ピーマン・シイタケ・アホも80円均一。
シイタケが同値というのは茸好きにはありがたいことだろう。
常連のオジさんたちはもっぱら焼きとんだが
若いカップル、殊に女性には野菜が人気だ

エッ? 何だって?
アホっていったい何だ! ってか?
ハハ、それは次話のお楽しみ。