2014年7月28日月曜日

第890話 連れて帰った黄金虫 (その1)

 ♪ こがね虫は かねもちだ
   金ぐら立てた くら立てた
   あめ屋で水あめ
   買ってきた

   こがね虫は かねもちだ
   金ぐら立てた くら立てた
   子どもに水あめ
   なめさせた     ♪
 
     (作詞:野口雨情)

東京メトロ・千代田線の綾瀬駅。
下り直通電車の行く先は我孫子や柏だったりもするが
千代田線の最終駅は綾瀬だ。
まあ、ここから出る亜線の北綾瀬もあるがネ。

都心から松戸に向かう途中、
たまたま乗った電車は綾瀬どまり。
乗り継ぎのため、ホームにたたずんでいた。

手持ち無沙汰につき、晴れた空をぼんやり眺めていたら
何やら正体不明の小さな飛翔物がいくつか舞っている。
目をこらすと、どうやら昆虫らしい。
おそらく黄金虫であろう。

この虫から連想されるのはまず冒頭の童謡。
そしてエドガー・A・ポーの短篇小説だろう。
小説は初めて暗号を扱った推理モノとしてつとに有名。
中学生の頃に「黒猫」や「モルグ街の殺人事件」とともに
読了した記憶はあるものの、
ストーリーの細部はすっかり忘れてしまった。

それよりも唱歌「黄金虫」の歌詞を調べていて
とんでもないエピソードに行き着いた。
何でも野口雨情作詞のこの歌の主役は
黄金虫ではなく茶羽ゴキブリなのだそうだ。

スペイン語の歌にゴキブリを歌った「ラ・クカラーチャ」があるから
主役がゴキブリでも平気の平左だが
コガネムシが実はゴキブリだったというのは
素直に看過できないものがある。

その二日後。
今度は東武伊勢崎線の浅草行きに乗っていた。
電車が堀切を過ぎて鐘ヶ淵に差し掛かったとき、
車内に1匹の黄金虫を発見。
どこから侵入したのやら、
足元ににじり寄ってきたので思わずつまみ上げた。
久方ぶりに小金(こがね)に恵まれた気分である。

=つづく=