2016年10月5日水曜日

第1462話 初めて歩く土浦の街 (その2)

何でも今をときめく小池百合子都知事が環境大臣時代、
制定に一役買った特定外来生物法のおかげで
釣り上げたアメリカナマズやブラックバスの持ち出しが禁止された由。
よって、ほとんどが現地で魚粉に加工され、
飼料や肥料に回されているのだという。
言われてみれば、上記の2種をスーパーで見掛けることは皆無だ。

湖畔に釣り用のボート乗り場があった。
スタッフの人たちが
前夜の台風から避難させるために陸揚げしておいたボートを
釣り場に戻す作業に励んでいた。

コンクリートの岸壁に腰を下ろし、ぼんやりと湖面を眺める。
水面に反射する陽光がまぶしい。
ジャンプする小魚は外来の肉食魚から逃れているのだろうか?
水中での生活も楽じゃなさそうだ。

さて、街中に戻るとするか。
再び桜川の沿って歩く。
やって来たのは桜町二丁目あたり。
かつての遊郭があったのはこの界隈である。
今は東京の新吉原の如く、ソープランドがやたらに多い。
時間が早かったせいか活気は感じられない。

街道筋には霞ヶ浦の名産を商う店舗が散見され、
海老せんべいや新わかさぎの煮干しの貼り紙が見える。
さすがに天然うなぎはまとまった漁獲がなく、
愛知県産養殖と明記されている。

亀城(きじょう)は別名・土浦城。
そのコンパクトな城址を散策してみた。
なぜか動物を飼育する檻があって、中にはニホンザルが2匹。
オスとメスが仕切られて別々に暮らしている。
オスはりょうた、メスはすみれという名である。
陽の当たらない陰気な場所をあてがわれて2匹ともつまらなそう。
どう見てもシアワセそうには見えない。
誰の発案か知らないけれど、こりゃ動物虐待だろうがっ!
ずいぶんな仕打ちをするものだ。

2時間は歩いたろう、
さして広くもない土浦の街をさまよいながら
晩酌の候補店を物色していた。
「食堂 亀屋」、「天ぷら ほたて」、日本そば「吾妻庵」、
そしてドイツ料理「エルベ」。
4軒ともほぼ同じ一郭に点在している。

「亀屋」は亀城の脇にあって、いかにも昭和の大衆食堂。
店頭にファンが書き込んだコピーが貼り出され、
当店のかつ丼を激賞している。
つい、つられてしまい、晩酌はここに決めた。
かつ丼では腹いっぱいになるから
かつ煮にしてもらい、ビールのアテにする腹積もりだ。
30分ほど待てば夜の開店時間が訪れるハズである。

=つづく=