2016年10月25日火曜日

第1476話 そうだ、草加へ行こう! (その1)

夏の終りの或る日。
TVのワイドショーを見ながら朝食をとっていた。
献立は? ってか?
イングリッシュ・マフィンのトーストとミルクティーでござるヨ。
ふん、シャレたモン食ってんじゃねェか! ってか?
うん、まあネ。

秋、真っただ中だってえのに
晩夏とはずいぶん古いハナシで恐縮ながら
話題によっては、つい長話になってしまい、
そこそこの日にちを要するために
ときとしてこんな現象を巻き起こす。
ご了承くだされ。

さて、その日は丸一日、何の予定もなかった。
いわゆるドヒマである。
そこでふと思い立ったのが、”草加へ行こう!”だったのだ。
草加は何度も通りすがった街ながらゆっくり歩いたことがない。
半日訪れるにはちょうどいいや・・・そう考えたのだ。

常磐線で北千住に出て
東武伊勢崎線(通称・スカイツリーライン)に乗り換えた。
埼玉県では、さいたま市、川口市にははるかに及ばずとも
県内第六位の人口を有する草加市である。

古くは千住に続く日光街道第二の宿場町として栄えた。
その後はやや停滞したものの、
近年、東京のベッドタウンとして住む人が増加し、
伊勢崎線で草加の一つ先、松原団地など、
そのまま駅名になっているマンモス団地である。

多少の下調べをして赴いたから
江戸時代の名残りある地域に向かって歩を進めた。
都心から30分そこそこの近場にもかかわらず、
のどかな地方都市といった風情は散策していて楽しい。

綾瀬川に沿って松並木が続いている。
昔から千本松原と呼ばれ、
街道筋の名所として旅人たちの心をなぐさめてきた。
かの松尾芭蕉も「おくのほそ道」の道すがら足跡を残している。

 月日は百代の過客にして 行きかふ年もまた旅人なり

「おくのほそ道」冒頭の名文から拝借したのだろう、
百代橋という太鼓橋が架かっている。
その先には矢立橋もあって、こちらは

 行く春や鳥啼き魚の目は泪 
 これを矢立の初めとして行く道なほ進まず

からであろうヨ。

=つづく=