2016年10月17日月曜日

第1470話 ウサギに惹かれて湯島の夜 (その2)

野うさぎの料理となると第一感はリエーブル・アラ・ロワイヤル。
フランス料理である。
直訳すれば野うさぎの王家風だから
断頭台の露と消えたルイ・エ・マリーも召し上がったことであろう。
何だ、それは! ってか?
16世とアントワネットでんがな。

アラ・ロワイヤルはフランス革命史のごとく、きわめて血生臭い。
それもそのはず、うさぎ自身の血液が使われてるからネ。
加えてけっこうな量の赤ワインが併用されるから
おのずとソースの色は赤黒くなる。
とにかく赤ワイン無くして美味しく味わえるものではなく、
下戸には無縁の料理だと、
飲めない方はハナからあきらめてくだされ。

ある昼下がり。
その日の散歩は神楽坂上から始まった。
東京メトロ東西線・神楽坂で下車。
坂上から坂下に向かって一直線に下降する。

飯田橋→水道橋→春日→本郷→湯島

そんな道程だった。
上野か御徒町の大衆酒場で1杯、いや2杯、
いやいや3杯ほど引っ掛ける腹積もりであった。

湯島天神下から上野広小路に向かって歩いていると、
比較的新し目の瀟洒なビルに差し掛かった。
飲食店だらけの建物には
焼肉の有名店「叙々苑」なんぞも入居している。

その階上に「喜羊門」なる中国料理店を発見。
何となく気になって帰宅後(もちろん上野で飲んだあと)、
検索してみたら俄然、興味が湧いてきた。
名物料理は第一に羊もも肉のあぶり焼き、
第二にうさぎの丸焼きである。

羊はうさぎよりずっと大きいから
1尾丸ごとというわけにもいくまい。
それでも片足が1本ド~ンと運ばれて
卓上で焼き上げられるという。
こりゃ行かずばなるまいヨ。

この店の利用法として二つのアイデアが浮かぶ。
 その1・・・グループで羊をガッツリと
 その2・・・小グループでうさぎをジックリと
さあ、どうするか?
でもなァ、発案者がそのまま幹事になること必定。
それも面倒くさいしねェ。
最近、生来の面倒くさがり屋に拍車がかかっちまってる。

ここでJ.C.オカザワ、明神下の平次親分よろしく、
胸に思案の月を見たのでありました。

=つづく=