2016年10月24日月曜日

第1475話 湯島の仇を根津で討つ (その2)

東京メトロ千代田線・根津駅そばの「楽翠荘」で
紹興酒を飲んでいる。
根津の町に美味しい店は少ない。
これは文京区の宿命かもしれない。
酒場・居酒屋にいたっては不毛地帯といっても過言ではない。

そんな文京区の根津では
串揚げの老舗「はん亭」がランドマーク的存在になっている。
ただし「はん亭」は高級店につき、
庶民が気安く利用することはむずかしい。

コスパを考慮すれば「楽翠荘」はまぎれもない優良店。
まことに貴重だ。
食事だけでなく、ちょい飲みを可能にしてくれるところが
呑み助には殊更ありがたい。

1軒目でそこそこつまんだため、
お互い、箸の進みはゆるやかである。
もうほかに料理は要らないくらいだが
それじゃ愛想ナシだから
レバニラ炒めと焼きビーフンを追加した。
これまたどちらもハーフポーションで。

しばらく焼きとん屋に行っていないから豚レバは久しぶり。
ニラとの相性の良さは
この料理の普及度をみれば明らかだろう。
海老チリにせよ、レバニラにせよ、
もともと中国大陸にはなかった料理のハズ。
日本人だか中国人だか判然としないが
考案者には敬意を表したい。

レバニラは水準に達している。
もやしは必要ないんだが
使用量は許容量の範囲内につき、不問に付す。
紹興酒のよき合いの手になってもくれてるし。

一方の焼きビーフンはやや凡庸。
味付けがレバニラに似てやや濃く、
これなら軽い塩味にしてほしかった。
ただし、相方は残りの紹興酒をオッツケる代わりに
ビーフンをヤッツケてくれた。
物事を成し遂げるには一致協力せなばならぬ。
とにもかくにも湯島の仇を根津で討ち、
本懐を遂げることができて目出度し。

近所のバーに移動した。
合わせたグラスはドライマティーニとホワイトレディで
どちらもベースのスピリッツはジンである。
昔ばなしに今一度花を咲かせて今宵はお開きとした。

「楽翠荘」
 東京都文京区根津1-1-15
 03-3821-7422