2016年10月7日金曜日

第1464話 初めて歩く土浦の街 (その4)

土浦は「吾妻庵総本店」に居る。
先客もなければ後客も現れない。
天ぷらでも頼もうかと思っていたら
ビールの突き出しに蓮根がやって来た。
醤油味の煮もの
蓮根は土浦の名産で国内随一の収穫量を誇るらしい。
ビールの友としてそれほど旨いものでもないが
ベター・ザン・ナッシングではある。

品書きを吟味してみたが、これといって惹かれるつまみはない。
そば屋で飲むのは好きだが酒飲みを嫌うそば屋もあろう。
店内には小上がりのほかに入れ込みの座敷まである。
これだけの設いがもったいないくらい。
いえ、酒飲みなら誰しもそう思うだろう。

結局は薬局、選んだのは天ざるだった。
いや、海苔抜きをお願いしたから正確には天もりだ。
品書きに天もりがないのでそうした。
そばと海苔の相性はけしてよくないからねェ。

2本目のビールを飲みつつ、天もりを待つ。
10分後に運ばれた天もりはかくの如し
見るからにバランスが悪い
どこかヘンだな。
天ぷらの盛合せというか、抱き合わせというか、
とにかく立体感に乏しい。

まっ、あまり細かいところを指摘しても何だし・・・。
取りあえず、いただいてみましょ。
そして海老をつまんだときだった。
ありゃ海老がかき揚げから離れない
両方が一心同体でくっついちゃってるぜ。
造り手はいったい何を考えてんだか・・・
その意図が読み取れない。

海老の天ぷらと小海老のかき揚が
密着した揚げものに出会ったのは生まれて初めてだ。
デメリットこそあれ、メリットはないだろうに。
あえてその理由を問い質さなかったが
心の中にクエスチョンマークを抱えつつ、海老に箸をつけた。
なかなかに良質の海老である。
反してかき揚げはよくない。

もっちりとした食感のそばが旨い。
のど越し感より噛みしめ感で味わうタイプだ。
ただし、つゆは甘すぎて感心しない。
およそ45分の滞在中、とうとう客は一人も来なかった。

はしごをせずに土浦駅へ。
駅ビル内のスーパーに立ち寄る。
霞ヶ浦産の新わかさぎを見つけ、購入した。

帰宅後、醤油と清酒を同割りにしてわかさぎを漬け込み、
翌日の昼食時に唐揚げとしてビールを楽しむ。
ベツに料理上手じゃないけれど、
前日の合体海老の上をいったことに間違いはなかったぞなもし。

=おしまい=

「吾妻庵総本店」
 茨城県土浦市中央1-6-11
 029-821-0161