2016年10月3日月曜日

第1460話 納豆はアンビバレント (その2)

何だって、ここで納豆が出て来るんや!
そうでしょう、そうでしょう、あまりに唐突ですもんネ。
実はJ.C.、この発酵食品が大好きでありながら大嫌い。
まことにアンビバレントな感情を抱いているのであります。

そもそも納豆を食べるのは朝食限定。
しかも炊き立てのごはんと一緒というのが絶対条件。
昼めし・晩めしの際には金輪際食べない。
居酒屋で目にするつまみ、まぐろ納豆・いか納豆の類いは
いまだかつて一度もオーダーしたことがない。
鮨屋の納豆巻きなんぞは嫌悪の対象ですらある。
第一、納豆巻きを供する鮨屋を真っ当な鮨屋とは認めていない。
余人の反感を買うことを承知のうえでの偏見である。

納豆のどこが嫌いかって、とにもかくにもあの匂い。
いや、臭いと書くべきか―。
朝食時、ごはんに乗せて食べてるぶんには
なかなかの風味なのだが食べ終えてしばらくすると
空気に触れることにより、イヤな臭いが発生してくる。
したがって納豆の容器だけはスグに下げて洗ってしまう。

いつぞやは文京区にある、
白山神社前のパスタ屋でヒドい目にあった。
カウンターの隣りの席のサラリーマンが
何と、納豆スパゲッティの大盛りをかき込んでいた。
その臭気たるやすさまじく、こちらの食欲は大減退。
こらえきれずに昼食を中途で切り上げる破目に―。
世の中に嫌煙権があるのなら
嫌臭権があってしかるべきではないか。

でも不思議なんだよねェ。
和食の朝めしには、そうしょっちゅうではないにせよ、
無性に納豆が食べたくなるんだよねェ。
ほかには熱い味噌汁、それも油揚げと絹さやがいいな。
あとは、きゅうりかなすの浅漬けがあればそれでよい。

何でまた納豆について一筆したためたのかというと、
近頃、その品質の劣化に不満を抱いているからだ。
殊にスーパーでもコンビニでも簡単に手に入る、
トップメーカーのモノがいけない。
豆が柔らかすぎたり、いくらかき混ぜても糸を引かなかったり、
こりゃ不良品じゃないかと疑うことすらある。

奮発(といってもタカが知れているけど)して
高級品を買い求めても肩透かしを食ってばかり。
その中で気に入っているのは
栃木県・宇都宮市のあづま食品の小粒納豆・舌鼓で
ここ数ヶ月はこれ一本やりだ。

脇役は、練り辛子・きざみねぎ・生醤油が三種の神器。
欲しくもないのに必ず付いてくる、
化調まみれの”たれ”は絶対に使いまっしぇん。