2016年12月7日水曜日

第1507話 改ざんされた「フィガロの結婚」 (その1)

その日のランチは新宿区・四谷荒木町のとんかつ屋。
厚目のロースカツは別段、特筆するところナシ。
よって詳細はパスする。

かつての花街を昼下がりに歩いても
頭上から三味の音(ね)降り注ぐでもなく、
どこか、うらぶれ感がつきまとう。
もっとも夜の帳(とばり)が降りるとこの街、
水を得た魚の如く生き返るのだ。

荒木町から曙橋、市ヶ谷から神楽坂下、
水道橋から後楽園、ヒマに任せてテクテク歩いた。
目の前にそびえ建つのは文京シビックセンターである。
手っ取り早くいえば、文京区役所である。

館内のホールで「リゴレット」だったかな?
いや、「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」かもしれない。
とにかく上野のお山にある、
東京文化会館の10分の1程度のチケット代で
オペラを観たのは早や10年以上前のこと。
コストパフォーマンスなんて言葉は使いたくないが
存分に楽しめたのだった。

二匹目のどじょうを狙う意図もなく2階に上がった。
ラックに満載のチラシを物色していて
そのうちの1枚に目が釘付け。
”スポホウ 改ざん!! フィガロの結婚”とあった。
8年ぶり再演決定!! であるらしい。

モーツァルトのオペラはそんなに観ていない。
それでも当該作のほかに
「魔笛」、「ドン・ジョヴァンニ」、「コシ・ファン・トゥッテ」、
「後宮からの逃走(誘拐とも)」、「イドメネオ」、
なあんだ、けっこう観てるじゃないか。

とにかく初めて見聞する、
ホウツキカゲキ団の公演に惹かれたのであった。
一夜限り、それも入場料が千円ポッキリというのにより惹かれた。

音楽好きの友人に打診すると、さすがに知っておったネ。
そいでもって彼女の友人たちまでジョインして
言わば、お誘い合わせの上、集結したわけでありました。

すっかりアレンジされ、いや、主宰者曰く改ざんだったな。
2時間に短縮されてはいるものの、
こういうのは”絶対アリ!” 強くそう思ったことである。
公演のパンフレットには
主宰者・宝概美代子サンの言葉でこうあった。
おっと、仔細は次話で―。

=つづく=