2016年12月9日金曜日

第1509話 サヨナラをする前に (その1)

「改ざん!! フィガロの結婚」がハネたのは21時半。
ここでサヨナラをして帰路に着くのも芸がないから
軽く a drink or two が好ましい。
開演時間が気になってせわしいプリシアターより、
終演後のポストシアターはリラックスできる。

おっと、ニューヨークと違い、東京はそうもいかない。
この街では最終電車を気にしなけりゃならないからネ。
その点、ビッグアップルのサブウェイは
24時間走っているため、余計な気遣いが不要だ。

店を選ぶのはJ.C.のほぼ恒久的なミッションにつき、
あらかじめ選定しておいた。
文京シビックセンターから徒歩1分のワインバーである。
その名を「bar a vins FOUGAU」という。
バー・ア・ヴァン フーゴーはワインバー・フーゴーという意味。

ニューヨーカーはもとより、
ロンドナー・パリジャンと異なり、
ポストシアターの習慣に疎遠な東京都民、
コンサート会場周辺の飲食店が特段、
混み合う懸念とてなく、余裕でバーに向かった。

意外にも店内は9割の入り。
熱気ムンムンというのではけっしてないが
かなりの立て混みようである。
それでもなんとか席を確保できた。

周りを見回すと・・・東京の女子はスゴいネ。
9割の入りの、そのまた9割をレディースが占めている。
テーブルはことごとく料理の皿がひしめき、
彼女たちが手にするグラスは泡・白・赤、
いずれかの液体で満たされているのであった。

プレミアムモルツかカールスバーグ、
各自好みの生ビールで乾杯。
ひとしきりステージの感想に耳を傾けながら
適当なつまみをパッパッと注文せねば―。

フードメニューを開くと、
プティット・アシエットと称する小皿が
10種類以上も並んでおり、500円均一。
軽くつまむにお誂え向きではあるが
多彩な品揃えに迷ってしまう。

塩鱈のリエット、ポロ葱とエリンギのベニエ、
かぼちゃのムースとコンソメゼリー、
鳥砂肝のコンフィ、キャベツのアンチョビガーリック。
フム、ど・れ・に、し・よ・う・か・な?

=つづく=