2016年12月22日木曜日

第1520話 期待通りの焼きとん屋 (その2)

湯島で下りて駅の階段を上がると、
天神下の交差点である。
北は行けば不忍池、西は本郷、南は明神下、
東は上野広小路である。

もっとも繁華な広小路方向に歩を進める。
ほどなく左手に「赤提灯」の赤提灯が見えてきた。
ここでチラリ脳裏をかすめたのは1軒の酒場であった。
J.C.御用達のサカナのデパート、
「吉池」が直営する「味の笛」のことだ。

元々はJR御徒町駅北口のガード下にあったが
耐震補強工事のため、しばらくの間、
南口改札脇に移動し、そこも今年の春先に閉めて、
秋には元の場所で再営業するとのことだった。
さすれば、もう再開しているハズ。
「大利根無情」の平手造酒ではないが
「行かねばならぬ!」であった。

広小路の交差点を過ぎて御徒町にやって来た。
「おう、おう、開いてる、開いてる」―
一抹の懐かしさがこみ上げた。
昔通りに1階は立ち飲み、2階は座り飲みである。

酒屋の角打ちが好きだから
けっして立ち飲みは嫌いじゃないが
ここでは2階に上がるのが常、今回もそうした。
おや、改装後はらせん階段になってるヨ。

1杯目はアサヒの工場から直送される生ビールだ。
ビールは新鮮なら新鮮なほどよい。
容量は300ml くらいか?
プラスチックのコップに満たされて、これが250円。
しょっちゅう通る谷中ぎんざの酒屋は350円だから
格安といえよう。
しかもこちらのほうが断然旨い。

つまみはいつも通りにマカロニサラダ。
昼めしを抜いていたのを思い出し、焼きそばも取った。
炭水化物のWテイキング、だけどネ、
これが生ビールに合うんですわ。

ビールは早や2杯目。
秋深しといえども冷たい液体がノドに快感を呼び起こす。
世にこんなに旨いモンがほかにあるだろうか。
ないネ、絶対にないヨ。
自分にとっては生きてゆくために必要不可欠、
最愛の伴侶なのである。

=つづく=