2017年6月8日木曜日

第1640話 小岩はコワいわ (その2)

新小岩の「彩波」にいる。
駅から遠く離れていても地元客にしっかり支えられ、
われわれのように遠征組もいて商売は順調の様子だ。
ここは群馬産上州豚のもつ焼きと
宮崎産赤鶏の刺身がウリの店なのである。

飲みものに少し遅れて突き出しが運ばれた。
これがなぜかおでんと来たもんだ。
ちくわ・つみれ・ちくわぶのトリオである。
けっこうな量である。

ちくわぶってのが珍しいネ。
腹にたまるから嫌う向きが少なくないものの、
下町のおでん屋でコイツを頼むと、
「オッ、江戸っ子だネ!」なんて言われちゃう種だ。

おでんとくれば燗酒が一番だが
東京風の濃い目の味付けはホッピーにもよく合った。
すぐに中(焼酎)をお替わりする。
まずは順調な滑り出しと言えよう。

当夜の狙いは鶏刺しではなく焼きとんである。
相方と同じものを食べ進むつもりだから
各部位おのおの2本づつオーダーしてゆく。
正しい焼きとんの食べ方だ。
何たって焼き手が仕事をしやすいからネ。

最初にタンとベンケイを塩で。
聞きなれないベンケイはスネ肉のこと。
はは~ん、弁慶の泣き所というわけですな。
洒脱なネーミングですな。
ともに好物ではなくともそれぞれにまずまずだった。

続いては大好物のレバーと
比較的珍しいチレ(脾臓)をタレで。
焼きとんで一番好きなのはレバー。
これはなかなかによかった。
独特の食感を持つチレもけっこうである。

少しく舌先を変えるため、相方を促すと
彼女が選んだのは、かにクリームコロッケ。
焼きとんを食べに来てメンチやトンカツでは
肉々しくて重くなるから適切な選択だろう。
それなりに美味しい。

こううしておいて串に戻った。
今度はこれまた好物のシロと
トロレバーというヤツをタレで。
どちらもレベルの高い食材、
そして焼き上がりである。

=つづく=