2017年6月19日月曜日

第1647話 60年の月日を数えて (その2)

かつての軍都、赤羽の街。
24時間稼働する工場で働く人たちのために
早朝から飲める店が多い土地柄である。

昨年2月の回顧談を続けよう。
飲み始めたのは早朝に非ずして15時過ぎ。
「桜商店」を30分ほどで切り上げ、
OK横丁に流れて発見したのが「たちばな」だった。

店先の品書きに見入っていたら
中国系と思しき女性スタッフが中から出て来て
ものの見事にキャッチされたのだった。
ここはキャッチバーかい?
っていうのは冗談で
誘われなくても入店するつもりでいた。

一番搾りの中ジョッキとともに菜花のひたしが登場。
いわゆる突き出しである。
2月のアタマで、もう菜花が出回ってるのかい?
どこの産か存ぜぬが
房総半島ならそれも可能だろう。

プレモルよりは一番搾りのほうが好みに合う。
春の香りをかぎながらゆるりと生ビールを楽しみ、
おもむろにつまみの吟味に入った。
おっ、世に珍しいイカメンチがあるじゃないのっ!

イカメンチとあらば、思い出すのは「ミスター・ガーリック」。
かつて麻布十番にあった昔気質の洋食屋だ。
コイツは看過できないな。
ほかに目移りすることもなく、即刻注文に及んでいた。

イカメンチは麻布の佳店に及ばぬものの、
それなりに満足して、木曽の銘酒・七笑に移行する。
これは熱めの燗、いわゆる上燗を所望した。
灯ともし頃の赤羽、狭い店内は立て込んできた。
それを潮にお勘定をお願い。

そして今回。
世は大型連休の真っ最中である。
後輩たちと合流するまでのつかの間に再訪した「たちばな」。
前回同様、生ビールでスタートする。
突き出しのオクラ納豆には箸を付けない。
J.C.にとって納豆は朝食限定。
それも炊き立てのごはんと一緒じゃないと食べない。

つまみの品定めを始めてすぐ、壁の貼り紙に目がとまる。
読み下して飛び上がったネ。
実際にジャンプはしないが腰が浮いたことは確かだ。
わが目を疑っちまったヨ、いや、ジッサイ!

=つづく=

「桜商店」
 東京都北区赤羽南1-8-7
 電話ナシ