2017年6月30日金曜日

第1656話 ぽんと背中をたたかれて (その3)

北千住のイタリアン、「イル・ポルトローネ」のカウンター。
ビールとワインのグラスを合わせて
入念にメニューをチェックしている。
最初にお願いしたのは
ピゼッリと玉ねぎの炒め、土佐赤牛のカルパッチョ、
ズッキーニとゴルゴンゾーラのグラタンである。

ピゼッリというのはイタリア名物のグリーンピース。
国産品よりずっと小粒で柔らかく、歯ざわりがよい。
以前、渋谷区・広尾に
「イ・ピゼッリ」という佳店があったが閉店して久しい。

緑豆はすばらしくはなかったけれど、
あゝ、これはイタリアものだな、
という実感はじゅうぶんにあった。
頼んでよかったの一品に数えて差し支えない。

土佐赤牛のカルパッチョは100%赤身肉。
岩手の短角牛に似たタイプだ。
牛の脂身を好まぬわれわれにはいい塩梅である。
ここでJ.C.もセペラヴィに切り替えた。

一番よかったのはグラタンだった。
クリームよりもゴルゴンゾーラが主張して
ズッキーニとの相性が素敵だ。
いや、赤ワインがすすむこと、すすむこと。
フォカッチャでソースを丁寧に拭いとり、
グラタン皿はピカピカに磨かれたかのごとくなり。

二人ともワイングラスを傾けるピッチが上がってきた。
ピエモンテのグリニョリーノ、
シチリアのピノ・ネッロとネッロ・ダーヴォラのブレンド、
イタリアを北から南へと一気に縦断の巻だ。
日本流に言えば、
北は北海道から南は沖縄まで、ということになる。

仕上げはベルギー産じゃが芋を使った、
スパゲッティ・ジェノヴェーゼ。
本場ジェノヴァでは
バジリコいっぱいのジェノヴェーゼに
じゃが芋を混ぜ込むのが本筋。
それもスパゲッティではなくトロフィーエなる、
ねじりん棒状のパスタが主流だ。

欧州一の誉れ高いベルギー産のじゃが芋は
なるほどけっこうながら
ポムフリット(フライドポテト)のほうが
より個性が明確に現れるハズだ。

よく飲み、よく語った一夜も
ドルチェ抜きでこれにてお開き。
北千住のステーションで
北と南の泣き別れと相成りました。

=おしまい=

「イル・ポルトローネ」
 東京都足立区3-14
 03-5284-2350