2017年6月23日金曜日

第1651話 60年の月日を数えて (その6)

赤羽の小さな酒亭「たちばな」にいる。
七笑の相方にまぐろのづけを頼んだところだ。
まぐろはバチの赤身だろう、漬かり具合がほどよい。
七笑との相性もよろしい。

よほど先述の貼り紙について
マダムに訊こうと思ったものの、
やはり今回は自重することにした。
約束の時間が迫ってきたたため、お勘定。
支払いは4千円ほどだった。

外はまだ明るい。
通りすがった「まるます家」には長い列ができている。
すぐそばのアーケード内にある、
おでんの人気店「丸健水産」の前で
今宵、酒交する相手の二人にバッタリ出会った。
「やきとん 大王」は目と鼻の先だからネ。

予約を入れておいたから2階のテーブル席に通された。
ビールは嫌いな銘柄しか置いてなく、
いきなり白ホッピーにする。
彼らと飲むのはおよそ半年ぶり。
再会を祝してジョッキを合わせた。

いろんな串を盛合せてもらったが
話に花が咲きすぎてほとんど口にした記憶がない。
店の名物らしき、タン・エノキ巻きとつくねは覚えているが
レバーやシロは1~2片しかつまんでないんじゃないかな。

自分で選んだ店ながら
どちらかというとハズレに近く、
このレベルの焼きとんでは満足できない。
それでも後輩たちはパクパクとよく食べてくれた。

3時間半ほど過ごしたろうか。
J.C.はホッピーの外を2本に中を4杯飲んだようだ。
ほどよい酔い心地を迎えたところで
いったんお開きとする。

翌朝シゴトで早起きするA澤クンと別れ、
T村クンと二人、一番街とOK横丁をぶらぶら。
大型連休中のことで
どの飲み屋も客があふれんばかり。
なかなか意に染まる店が見つからない。

そうして立ち止まったのは先刻訪れた、
OK横丁の「たちばな」であった。
中をのぞいたらカウンターに空席がある。
心なしか相棒も気に入った様子だ。

そうこうするうち、
中から呼び込みの女性スタッフが現れた。
「イラッシャ~イ、マセェ~!」

=つづく=

「焼きとん 大王」
 東京都北区赤羽1-23-6
 03-5939-7748