2018年8月2日木曜日

第1928話 大雨にビビッた日 (その1)

関東直撃がないとはいえ、
台風12号の影響で東京は終日大雨と予想された日。
隅田川の花火も早々に順延が発表されていた。
ところが朝方は降っていた雨も、
昼過ぎにはすっかり上がってやんの。

夜の予定を延期した身にとって
ハズレた予報が少なからずうらめしくもあった。
いくら前代未聞の逆走台風だからって
もっとしっかりしておくれヨ、気象庁さんヨッ!

14時を過ぎて空腹を感じ、おのれの舌と胃袋に問う。
「オメエたち、何を食いてェの?」
舌が応えて曰く、
「サカナの天ぷらがいいな、それも穴子かハゼ!」
間髪入れず、胃袋が続いて
「とんかつぅ、ヒレじゃなくってロース!」

ふ~む、天ぷらかァ、とんかつねェ。
共通するのは揚げ物ってこった。
どちらとも決めかねて漠然と家を出たその瞬間、
ジーンズのポケットのケータイがバイブレート。
墨東に棲む酌友が今宵の軽飲みを誘うメールだった。
訊けば先方も晩めし取り止めとなった由。
快諾して夕刻に上野で落ち合うことを約した。

さすればロースカツは重たかろう。
ここはハゼの天ぷらで一酌に及ぶべし。
はて、ハゼ天である。
記憶の糸をたどって行き着いたのは
足立区・五反野の「幸楽」だ。

あれは三ヶ月半前。
電車を待つプラットフォームで
上り下りの微妙なズレに見舞われ、
神田の「三州屋 駅前店」に行くつもりが
五反野の「幸楽」へ変更したのだった。
そのせいで「三州屋」に別れを告げられなかった。
今でも心残りである。

前回は湯島のピッツェリアにおける、
夕食会の前に独り0次会で立ち寄った。
その際はハゼ天とくじベコで飲んだが此度もここしよう。 
土・日は正午開店のハズだし・・・。

てなこって再訪した「幸楽」。
天気予報が悪天を告げたせいか、
店内はガラガラ蛇がとぐろを巻く状態。
それでもしばらくすると、
地元の常連が三々五々のご到来である。
かように飲食のなりわいは地域になじんでナンボのものだ。

=つづく=