2018年8月15日水曜日

第1937話 部位少なくとも焼きは良し (その1)

またまた猛暑日の宵の口。
オシャレ・タウンならぬ、オヤジ・タウン新橋にいた。
旨い焼き鳥屋を紹介したいという友人の誘いに乗って
のこのこ出掛けて来たのだが
よ~く考えてみれば、ずいぶん久しぶりの新橋であった。

店名を「鳥之介」という。
ん? 聞き覚えがあるな。
調べてみたら18年前に一度だけ訪れていた。
それも2軒目として流れてきたから
あまりつまんでいない。
ただ、鳥刺しが良かったと記憶している。

新橋駅前ビルの地下で生ビールを1杯引っ掛け、
揚々と向かった指定先である。
着いてみると、「鳥之介」は「鳥之介」でも
アタマに「分」の字がかぶさっている。
あとで知ったことだが
こちらは「新ばし 鳥之介」といって2号店なんだそうだ。

狭い階段を降りると、
目前にアコーディオン・ドアのお出迎え。
おっとっと、こういう入り口は
わが人生においてほとんど前例を見ない。
いや、人生初かもしれない。

過去に本店を訪れて料理のレベルを知っていなければ、
この段階で逃げ出すところだ。
意を決してアコーディオンを引き、入店に及ぶと、
カウンターの端にちょこんと座った相方は
この暑いのに焼酎の湯割りなんぞをのんきに飲んでいた。

当方は中ジョッキをやっつけてきたものの、
1杯じゃとてもとても足りやしない。
ジョッキと湯飲みの奇妙な乾杯!
卓上には突き出しの枝豆と相方が頼んだ冷やしトマトが―。
固茹でを冷やした枝豆が旨い。
茹で立て熱々の豆は嫌いだ。
蛸でも蟹でも玉子でも、茹でたら冷やしたほうがよろしい。
 
壁の短冊に
かるめコース(6本)

おまかせコース(ストップがかかるまで)
とあった。
 
大食漢でないJ.C.は当然かるめをお願い。
どんな6本が運ばれるものか、
おおよその見当がつくものの、
それなりに楽しみではある。
 
=つづく=