2018年8月30日木曜日

第1948話 これがホントの盆踊り (その5)

南国土佐ならぬ、大田区蒲田をあとにして
向かったのはJR京浜東北線・川崎駅。
ターゲットは駅前本町の「丸大ホール」だ。
狭義の意味での川崎では、随一の大衆酒場がここ。
ただ困るのは日曜営業はともかくも土曜休業である。
フツーの酒場は逆でしょ。

ルンルン気分で到着すると、
この日、何回目か忘れちゃったが
またしてもガッビ~ン!
休みは年末年始だけだと思い込んだこちらが愚かだった。
お盆休みもあったんだ。
まったくもって、お盆に踊らされる日だこと。

散策して楽しい街じゃなし、ここは見切り千両。
はて、何処へ?
京浜急行で南下してゆけば、
お盆における営業の開閉は定かでなくとも
心弾ませてくれる酒場が目白押し。
鶴見・生麦・新子安・仲木戸、枚挙にいとまがない。

思いついたのは滅多に乗る機会のないJR南武線だ。
南武線といっても
終点の立川くんだりまで遠征するつもりはない。
武蔵小杉あたりで手を打とうじゃないか―。
そこからだとランチで空振ったカツカレーの目が
再度浮かんでこようというものだ。

そうして降り立ったムサコである。
ここ数年、住みたい町として人気の高いところだが
最近はいくつか問題が生じている。
朝のラッシュがヒドく、駅の改札からホームまで
かなりの時間が掛かってしまう由。
入場規制まで発動されることもあると聞いた。
もうこの一点だけで住みたくないなァ。

加えてやたらめったらタワーマンション
建てまくったせいでビル風すさまじく、
幼児や老人が飛ばされたりもするらしい。
古くからある低層造物の日照にも
悪影響が及んでいるという。

駅から歩いて3分。
焼きとんの「文福本店」に到着した。
初めての訪問ながら評判は聞いており、
そこそこの期待感はあった。

まだ浅い時間帯につき、店内は閑散としていた。
カウンターのほぼ中央に陣取って
サッポロ黒ラベルの中ジョッキをお願いした。

=つづく=