2019年10月2日水曜日

第2232話 スイマ スイマ スイマ 睡魔を破ろう

「蛙之介」をあとにして、遅ればせながら
闇市のおもかげ残る溝の口西口商店街の焼きとん「いろは」。
この町きっての人気店につき、席の確保が懸念されたが
案の定、カウンターはムリ。
それでも一番奥の壁に相対する席に横並びで座れた。

こちら一番搾りの中ジョッキ、
あちら會津ほまれの常温で本日二度目の乾杯。
會津ほまれは福島県・喜多方市、ほまれ酒造の看板銘柄。
この酒造は「サンデー・モーニング」(TBS)でおなじみ、
唐橋ユミさんの実家である。

カシラを塩、シロとレバをタレで通すと、すべて塩で来た。
焼き手のオニイさんに
「あれ、みんな塩になっちゃってるヨ」
「あっ、すいません、すぐ焼き直します」
「焼き直さなくていいからシロとレバにタレを掛けて―」

当方も會津ほまれの常温に移行した。
ふっくらと焼かれたカシラが抜群にしてレバもなかなか。
シロのみ下茹で不十分でアゴが疲れる。
総じて評判通りの実力店だった。

狭いところに来客はひっきりなし。
こうなったら長居は無用と、いうよりむしろ野暮。
相方の地元、自由ヶ丘に移動を決める。
東急大井町線で乗り換えなしの1本だしネ。

2年ぶりに暖簾をくぐる「金田」。
以前、湯島「シンスケ」の稿でもふれたけれど、
言う人に言わせれば、東京の酒場の双璧は
西の「金田」に東の「シンスケ」ということらしい。
J.C.はちっともその説に与しないがネ。

本日三度目の乾杯は黒ラベルの中ジョッキ。
これにてアサヒ・キリン・サッポロと3社を制覇。
つまみに大好物のしゃこわさを見つけ、
あわててお願いしたら惜しくも売切れときたもんだ。

舌打ちしつつ、コチ刺しに切り替える。
薄造りをポン酢でやったが文字通り満足感も薄かった。
Fチャンはつみれ汁をすすっている。
おすそ分けの一粒はイワシの個性が引き出されて美味。

今宵は口やかましい若女将の姿が見えない。
代わりにアルバイトらしき娘さんが立ち働いている。
可愛らしい容貌に加え、接客もていねいだ。
鼈甲(べっこう)フレームの眼鏡がよく似合い、
ふと唐橋ユミを思い出す。
その眼鏡をとっかかりにして
早くも相方がちょっかいを出し始めた。

30分ほど滞在し、お次は東横線で隣り駅の都立大学へ。
スナック「S」は今年1月以来の訪問。
さっそくママに美空ひばりの「裏窓」をリクエスト。
しばらく飲んで歌ったあと、
ここからなら歩いても帰れる相方を残し、
先に店を出て乗った電車だったが
突如、襲ってきた睡魔に打ち勝つこと能わず、
目覚めたら練馬区・平和台にいた。
アチャー! これからはたとえガラガラ電車でも
絶対に座るまいと心にきざみ込みました。

「いろは」
 神奈川県川崎市高津区溝口2-4-3
 044-811-4881

「金田」
 東京都目黒区自由が丘1-11-4
  03-3717-7352