2019年10月29日火曜日

第2251話 鯰と鰻をサックリと

荒川遊園地前の遊歩道で仕方なく、
ヌルい生ビールを飲んでいたとき、メールが着信。
なあんだ、さっき別れたばかりのY莉チャンじゃないか。
今夜、東京で1泊して明朝帰郷することにしたらしい。
ついては晩めしをつき合えとの仰せである。
確保した宿は上野駅周辺だという。

10分後に折り返すと打っといて、しばし思案する。
尾久の散策は道半ば、まだ2時間近くの余裕があった。
確か、尾久銀座の入口だか出口だかのそばに
古いうなぎ屋があったハズ、よしっ、そこにしよう。

地番は東尾久で最寄り駅は舎人ラーナー・赤土小学校前。
しかし、ヨソ者にこのラインは使い勝手が悪い。
JR山手線・田端駅に呼び寄せたほうがよい。
飲み干したビールのプラコップをくずかごに放り込んだ。

西尾久の隣りに位置する北区・昭和町から
尾久に戻って小台本銀座、そして尾久銀座に廻った。
念のため、目当ての「うなぎ坂田」に立ち寄り、
20分後の予約を入れて出迎えのため、田端駅へ。

うなぎ好きの相方は上機嫌。
黒ラベルの中ジョッキをカチンと合わせた。
間髪入れずに通したのは、うなぎ肝焼きと上新香だ。
うざく、う巻きもけして嫌いじゃないが
蒲焼きのインパクトが薄まるからなるべく避けている。
肝焼きだけはベツで蒲焼きより好きなくらい。
はたして好物の肝はそこそこレベルに過ぎなかった。
水準ギリギリといったところである。

かぶ・白瓜・なす・らっきょうの上新香は
ぬかの漬かりが上々なれど、
救われないのは振りかかった白い粉だ。
古い食堂や定食屋で油断してると、
ときどき見舞われる災難がコレだ。

かといって客がいきなり、
「お新香には味の素をかけないでネ」
なんて言えるハズがない。
「ウチはそんなもん使ってません!」
店によっては一喝されておしまいであろうヨ。

冷えたキンシ正宗に切り替えたとき、
なまずの天ぷらがあると聞き、即刻お願い。
なまずは東京スタジアム(味の素スタジアム)のある、
京王線・飛田給の居酒屋「いっぷく」で
2年前の秋に食べて以来だ。

あのフライの旨さは今も舌が覚えている。
「坂田」の天ぷらもホックリ揚げられて
なまずの持ち味が活きてはいたものの、
「いっぷく」には及ばなかった。

日本酒を飲み過ぎたせいで食欲は減退気味。
締めにガッツリとうな重は望むべくもなく
白焼き丼をサックリと分け合った。
ホロ酔いを超え、ドロ酔い寸前のツレを
どこかに故郷の香り漂う上野駅までクルマで送り、
こちらは夜更けの不忍通りを歩いて帰途に着きました。
タハッ、男はつらいヨ。

「うなぎ坂田」
 東京都荒川区東尾久4-22-11
 03-3894-4778