2019年10月4日金曜日

第2234話 下北の街 様変わり (その2)

下北沢は「スパイスラーメン 点と線」のカウンター。
「札幌路地裏スープカリィ 侍」の新業態だが
何でまた清張センセイの「点と線」が出てくるのか?
あとで接客係に訊こうと思っていながら、またコロリと忘れた。
最近はこんなのばかりだ。

ところが後日、ふと心づいた。
月刊誌「旅」における「点と線」の連載開始は1957年2月。
ちょうどこの頃、ちまたでは
あみ印食品製造のカレーラーメンが売られており、
そこそこのヒット商品だったと記憶している。
このあたりが謎解きのキーポイントかもしれない。
懐かしさに調べてみたら、今も復刻版が手に入るらしい。
いっちょう購入してみようかな。

それはそれとして、スパイスラーメンが整った。
スープを一口すすると、ほぼ想像通りの味。
ファースト・アタックはクローヴ(丁子)だ。
中太のちぢれ麺はコシが相当に強い。

だけどネ、インスタ映えを意識して余計なモンを入れ過ぎ。
どうして擂りこ木みたいなぶっといゴボウが
ドヤ顔で2本も入ってるの?
カシューナッツと糸唐辛子は不要だし、
レモンや海苔も効果的とは思えない。

ヒドかったのはライス。
30 年前に登場した道産米の新星、きらら397とのことだが
水加減、あるいは火加減を間違えたのか、
それともシャバシャバカレーに合わせたのか、
とにかく箸にも棒にもかからない代物に
それこそ半ライスの半分を残した。

若者の街、そしてカレーの街、下北だからこそ
それなりに繁盛しているものの、
下町を中心としたコンサヴェティヴな東京の東側で
大成するのはまず無理だろう。

カップルであふれる坂道を独り南に下ってゆく。
本日の主役、「トロワ・シャンブル」はすぐ見つかった。
建物の2階に上って入店すると、ここもかなりの繁盛ぶり。
カウンターに通されたはいいけれど、
隣客との間隔がかなり狭い。
J.C.の左右はいずれも外国人で
右側にツーリストと思しき親子(母親と息子)連れ、
左側は常連らしき単身の中年男性である。

これが居酒屋だったら
「ホエア・アー・ユー・フロム?」に始まって
しばし会話を楽しむところなれど、
シラフの喫茶店じゃそうもいかない。
いや、それにしても狭苦しいな。

=つづく=