2019年10月25日金曜日

第2249話 町屋は町中華の町

北国在住の友人・Y莉チャンが上京してきた。
不祝儀だという。
つかの間、旧交を温めるため、
白昼から一飲に及ぶこととなった。

斎場が荒川区・町屋というので
近くの町中華&喫茶「川ばた」で待合わせる。
揃って入店すると、女将さんが申し訳なさそうに
「すみません、今いっぱいで・・・」
「じゃ、外で待ってるネ」
「それがちょうど団体さんが入っちゃって・・・」

見渡せば、ホントに満席。
しかも入口近くの爺さんがソース焼きそばを
音を立ててすすってるほかは客に料理が出ていない。
そして揃いも揃って黒づくめのファッションだ。
やれやれ、タッチの差で先を越されちまったわい。
われら二人、目を見合わせて苦笑するばかりなりけり

それではと向かった、これも老舗中華の「百番」。
こちらは満席どころか、ひと月前に廃業してた。
今月末には千駄木の「砺波」が幕を降ろすというのに
「百番」が先立つ不孝を実践してた。

町中華はいよいよおしまいなんだろうか?
「日高屋」、「ふくしん」、「幸楽苑」、
それに加えて、イラサマセ~系。
昭和をつつましく生きた善良な市民が憩える中華は
絶滅危惧種になっちまったんだねェ。
心なしか相方の眼差しにかげりが浮かんでいる。
ダイジョブ、ダイジョビ、町屋は町中華の町だからサ。

「百番」と同じ並びの尾竹橋通り。
「らぁ麺 天元」にようやく落ち着くことができた。
ここもまた古い町中華なのだ。
スーパードライのグラスを合わせながら
餃子・中華そば・半チャーハンをオーダーした。

ニンニクの効いた餡に皮もっちりの餃子はまずまず。
中華そばは自家製極細麺がよく、
バラ肉チャーシュー・細切りシナチク・味付け半玉・
焼き海苔のトッピングにも抜かりがない。
惜しむらくは鳥ガラ&魚介の出汁に昭和の香りが薄かった。
玉子と青ねぎのチャーハンはどうにか平均点だ。

銀座で買い物を済ませて帰途に着く、
Y莉チャンを町屋駅まで送り、
こちらは持て余した時間の有効活用。
あまり足を踏み入れぬ尾久の町をゆっくりめぐってみたい。
東京に唯一残るチンチン電車、
都営荒川線の線路に沿って歩き始めた。 

「らぁ麺 天元」
 東京都荒川区町屋2-4-18
 03-3819-0045