2024年9月20日金曜日

第2628話 百恵の前の素敵なラザニア

この日は神保町の「山口百恵映画祭」。
その前の腹ごしらえは
初めて利用するイタリアン「Angolo」。
チケットを早めにゲットしてから赴いた。

店名のAngoloは ”角” という意味で
英語ならアングル。
言わば国内でよく見かける「カドヤ」だ。
なるほど神保町から白山通りを北に向かい、
ほどなく右手の角地にある。

11時50分に入店し、2人掛けに着いた。
ビールはキリン一番搾りとモレッティ。
それぞれ450円と600円。
フトコロに相談することなく一番搾りを。
同じキリンでもクラシックラガーはキツい。
ラガーまでが許容範囲で
ハートランドと一番搾りなら問題なく飲める。

それではランチメニューのご紹介。

A(1000円)は4種のスパゲッティとラザニア
スパゲッティは
シラス白ワイン風味 サルシッチャと赤ピーマン
いろいろなキノコのクリームソース
揚げ茄子とモッツァレラのトマトソース

B(1600円)がパスタ+魚 or 肉で
鮮魚のアクアパッツァ or 三元豚ロースのグリル

C(2500円)は B+前菜3種と
ドルチェ&コーヒー or 紅茶

すべてにフォカッチャ風の自家製パンと
にんじん&レタスのサラダが付く。
ほとんどの客が A から択ぶ。
J.C.はラザニアを通した。

接客を仕切るのは店主。
腰は曲がっているが
とてつもなく元気で声がバカデカい。
アシストするのはお嫁さん。
厨房のシェフが息子で補佐が母親。
確証も無く断定したが
この見立てに間違いはあるまい。

皿に鎮座するラザニアの存在感に圧倒された。
完食できるかな? たじろいだものの、
その美味しさにペロリと平らげた。
途中からタバスコを振ったりしてネ。

今まで長いこと生きてきたが
ラザニアを食べたのは15回ほどだと思う。
そのうちで今日の1皿は
間違いなく、ワン・オブ・ザ・ベスト。
気分を良くして小瓶を3本も飲んじまった。

映画の際は通ってスパゲッティを食べよう。
心に固く決めました。

「クッチーナ イタリアーナ アンゴロ」
 東京都千代田区神田神保町1-42
 03-3295-9189

2024年9月19日木曜日

第3627話 地獄谷 降りて昇って ご苦労さん

本日の相方は、のみとも・B千チャン。
舞台はJR大森駅西口そばの通称・地獄谷。
正式名称は山王小路飲食店街である。

此処はスゴいぜ、皆の衆。
都内には京成押上線・立石や
東急大井町線・大井町など戦後の混沌を
色濃く残すスポットが点在するが
京浜東北線・大森を超える場所はありません。
たまらなく好きなんだ。

都営浅草線・馬込駅から
炎天下を20分も歩いたため、
ノドチンコがカラカラに乾いている。
待ち合わせの14時にはまだ30分もあるが
たまらず「藤つぼ」の暖簾をくぐった。
希少部位が揃う焼き鳥の名店である。

地獄谷には駅前の池上通りから
3本の石段が通じている。
駅から最寄りの1本を降ると
すぐ右手にあるのが当店だ。

ドライの大瓶をグビッと飲って生き返る。
お通しはきゅうり&大根の浅漬け。
漬かり具合がジャストであった。

B千チャンの仕掛けも早いほうだが
奴さん、一向に現れない。
14時を回った頃、ようやく額に汗して登場。
訊けば、いったん地獄谷に降りたものの、
「藤つぼ」が見つからず、
また石段を昇っちまったんだと。
この暑いのに、ご苦労なこった。

ビールを好まぬ彼に生パインサワーを
勧めたら歓んで飲んでいる。
こちらも大瓶をお替わりし、
焼き始めてもらった。

いやはや、よく食べた。
途中、赤いシロップ入り焼酎ハイボール、
つぼハイに切り替えたりして
はらみ・背肝・まく(ふくらはぎ)・
あきれす(リンパ)・むなもと・
はつ・れば・おび(ももの真ん中)。
他のつまみは何も取らずに
会計は1人アタマ4千円と少々。

東口に流れて「蔦八」。
3年前に銀座の現役ママ・H恵と来たが
あのときははす向かいの「蔦八はなれ」。
本店はかなり久しぶりになる。

此処のビールは赤星大瓶。
太刀魚刺しと玉子入り煮込みを通した。
今回は刺身の鮮度がイマイチで
B千チャンの日本酒に醤油を足して
即席づけにしてみた。

腸壁に脂がびっしり付いたもつの煮込みは
いつも安定の旨さである。
ビール2本に酒2合、会計は1人2千円ほど。
新代田行きバスに乗り込む相方を見送り、
京浜東北線の乗客となりました。

「藤つぼ」
 東京都大田区山王2-2-15
 03-6451-8558

「煮込 蔦八」
 東京都大田区大森北1-35-8
 03-3761-4310

2024年9月18日水曜日

第3626話 とんかつ屋 休みに当たり 町中華 (その2)

不忍通り沿いの町中華「珍華」。
半ドライカレーには細かい豚肉とピーマンのみ。
GABANのブラックペッパーを振ってパクリ。
ふむ、ふむ、なかなかである。

ラーメンにはSBの白コショーをパッパ。
具材はももチャーシュー1枚に
シナチク・ナルト・絹さや。
麺は中太ちぢれ麺、スープは王道の醤油。
典型的な昭和の中華そばが歓ばしい。
昔、三崎坂下にあった行きつけ、
「砺波」をしのばせて懐旧の思いを誘う。

帰り際、タバギンに廻った。
江東区・砂町銀座に本店を構える、
「魚壮」をのぞくと、
珍しくも愛媛産カイワリが何匹も。
エボダイに似た姿にシマアジに似た味わい。
とても美味しいサカナにつき、即購入。
本日3度目の即断即決となった。

後日、近所の友人を誘い「珍華」再訪。
キリンラガーの大瓶を分け合い、
ただちに塔牌紹興酒に切り替えた。
陳五年・花彫である。

料理は皮切りに焼き餃子。
小ぶりの6カンは野菜みっちり。
口当たりが軽やかで好きなタイプだ。

続いて当店の一番人気、フカヒレ丼を。
ネットのカキコミでブレイクしたらしい。
天津丼に似たルックスながら
餡にケチャップは使用されず、
醤油ベースの穏やかな味付け。
なるほど、こういうスタイルがあるんだネ。
玉子との相性もよく率直に美味しい。

変わっていたのはフカヒレだ。
通常は針状のフカヒレが
此処では小さな小さな扇(おうぎ)状。
何処で探してきたのか、初めて見る形状だ。
値段が960円とフカヒレとしては破格。
店主の苦労が垣間見える気がした。

最後のヤキソバは
上海ヤキソバとイタメソバで迷う。
違いを訊くと、どちらも炒めたもので
アンカケはナシ。
イタメソバは具材が五目になるという。
上海を選択した。

豚バラ&野菜たっぷりの塩味仕上げ。
炒めるタイプとして申し分なし。
互いに少食ながら頑張った2人。
会計は津田梅子女史1枚で
コインのオツリを受け取りました。

「珍華」
 東京都文京区本駒込5-43-10
 03-3828-1413

「魚壮」
 東京都北区田端3-6-10
 03-3827-1161

2024年9月17日火曜日

第3625話 とんかつ屋 休みに当たり 町中華 (その1)

文京区・駒込にて所用を済ませ、
界隈でとんかつを食べようと思った。
真っ先に浮かんだのは目黒の老舗の暖簾分け、
「とんき」である。

調べてみたらビールが苦手な銘柄。
や~めた!
即断即決とはこのことだ。

滑り止めを探して見つけたのが
不忍通り沿いの「わらしっ子」。
動坂下の交差点から北に向かい、
「食事処 ときわ」のちょいと先。
上野松坂屋と早稲田を結ぶバスで
ひんぱんに通るため、
何度も目にしているが未訪だ。

行ってみたら定休日、しょうがねェなァ。
先日の三ノ輪の二の舞である。
あのときはとんかつにフラレて
日本そば屋の穴子皿になった。

さすれば近くの田端銀座、
通称タバギンにでも行こう。
歩き始めたら本駒込五丁目のバス停前で
町中華「珍華」に通りすがった。
こちらも認知はしているけど未訪。
き~めた!
本日2度目の即断即決なり。

ビールはキリンラガーの大瓶。
何のこたあない「とんき」と一緒。
何やってんだかなァ・・・
元の木阿弥とはこのことである。

観念してトクトクトクのグビ~ッ!
まっ、以前よりずいぶん、
飲みやすくなってはいるがネ。
にしてもここのところ
しょっちゅうキリンにブチ当たるな。

犬も歩けば棒に当たる。
J.C.も飲み歩けばキリンに当たる。
ってか?

一息ついて店内を見渡す。
厨房に老夫婦、
接客は倅(せがれ)だろう、3人体制だ。
メニューをつぶさに眺める。

半ドライカレー&ラーメン(930円)を
見つけて麺も半分でお願い。
半チャーハン、半チキンライスもあるなか、
町中華では滅多にお目に掛からない、
ドライカレーを試したかった。

=つづく=

2024年9月16日月曜日

第3624話 アルゼンチンから はるばると

 ♪   月の沙漠を はるばると
  旅の駱駝が ゆきました ♪

沙漠をはるばると行ったのは駱駝だが
アルゼンチンからはるばると
やって来た動物もあった。
馬である。

出逢ったのは神田司町の名酒場「みますや」。
当店はわが亡父と同い年の明治38年生まれ。
親近感が生じて幾度も訪れている。
暖簾をくぐると見慣れた光景。
右が小上り、真ん中椅子席、左手座敷。
そこをスス~ッと抜け、奥の卓に着いた。
ロの字カウンターにも似た大テーブルだ。

ドライ大瓶を飲みながら、
お通しの結び昆布煮を噛みつつ、
入念に品書きをチェックする。
そこにあったのがアルゼンチン産馬刺し。
霜降り2400円、赤身1800円。
けっこうなお値段である。
ふところにお伺いを立てて赤身にした。

すると接客のオニイさん。
「にんにく100円ですが、お付けしますか?」
「うん、お願い!」
したらば、おろしにんにくがゴッソリ来た。
こんなん平らげたら明日は人に逢えない。
ましてやハニーとのデートなど
もってのほかであろうヨ。

赤身は上質でウマかった。
中央競馬にもアルゼンチン共和国杯が
あるくらいだから彼の国は馬に馴染みが深い。
さすがに馬刺しは食わんだろうがネ。

ほどなく左隣りに中年カップルが着席。
J.C.同様に赤身の馬刺しを通した。
ほかにも4~5品いっぺんに注文している。
(よく食べるなァ)もちろん口には出さず、
心の内でつぶやく。

ん? 料理が3品並んだのにビールはまだ。
さすがに旦那が催促している。
見かねたJ.C.、
「ハハ、コレはないですよネ?」
思わず声掛けしてしまった。

そこから会話が始まって1時間半の滞空中、
会話が途切れることはなかった。
訊けば、奥さまは古美術商、旦那は役者さん。
おかげで楽しい一夜となりました。
ありがとう。

ドライ大瓶2本、信州の真澄2合、
馬刺し1皿、お勘定は金4700円也。
「みますや」は佳い店であります。
ごちそうさま。

「みますや」
 東京都千代田区神田司町2-15-2
 03-3294-5433

2024年9月13日金曜日

第3623話 鳥越の 天丼哀し 夏の空

千貫神輿で名を馳せる台東区・鳥越の鳥越神社。
以前、暮した柳橋にほど近く、
おかず横丁の存在もあって庭みたいなもの。
此処に和食の老舗「大新」がある。
何度も店先を通っているが
敷居をまたいでないため、出掛けてみた。

天ぷら・刺身・うなぎに
海老フライ・とんかつが主なランチメニュー。
夜はふぐ料理などを供し、宴会もこなす。
昭和の時代の浅草辺りでよく見かけた、
典型的な総合和食店である。

ビールはキリンのみ。
しかも重々しいクラシックラガー。
背に腹は代えられずガマンの発注に及ぶ。
日替わり弁当が売切れており、
豚ぷら定食と迷った末、天丼を通す。
運ばれたドンブリをひと目見て
表情の曇りを実感する。

細海老3本・キス・イカ・
しいたけ・なす・いんげん。
魚介類が見るからに力を失い、ヘタッている。
オマケに大の苦手の古糠漬け。
あさり&小海老入り八宝菜風と
ほうれん草味噌汁は好かった。

夢破れて山河あり。
障子破れてサンがあり。
空を見上げると浮雲がぽっかり
ほうら陽水も歌い出す。
浪花の小姑が何か言ってきそうだけど
ええい、イッちゃえ!

♪     何かを大切に していたいけど
  身体でもないし 心でもない
  きらめくような 想い出でもない
  ましては我が身の 明日でもない
  浮雲、ぽっかり  
  浮雲、ひとりきり  ♪

「青空、ひとりきり」は1976年リリースの
アルバム「招待状のないショー」に
収録されている。
ん? 最近もこの曲使ったな。
まっ、いいか。

涼風(すずかぜ)未だ吹きやらぬ夏空の下、
すぐ近くの鳥越神社に参拝。
境内に足を踏み入れるといつも思い出すのは
浅田次郎の「天切り松 闇がたり」。

第二巻の「残侠」では清水の小政が此処で
得意の居合抜きをフル回転。
並みいる敵をバッタバッタとなぎ倒す。
痛快な当シリーズは彼の作品中、
揺るがぬマイベストであります。

「大新」
 東京都台東区鳥越2-1-4
 03-3862-0035

2024年9月12日木曜日

第3622話 団子のために 早仕掛け

東京の北東の玄関口、足立区・北千住。
飲食店探しに苦労のない土地柄だ。
此処に昭和27年創業の団子屋がある。
”槍かけ団子”の異名をとる「かどや」は
旧日光街道沿いの町はずれで今も営業中。

しかしながら本日紹介するのは他の店。
駅前通りを挟んで街道筋の反対側、
「だんごの美好 北千住店」である。

北千住店というからには
ほかにも店舗が散在し、
23区内にとどまらず、東京都下に加え、
神奈川・埼玉・千葉の各県にも展開している。

いつだったかな?
10年以上前に都下・国分寺で遭遇し、
びっくりした覚えがある。

昼過ぎには売り切れて閉店するため、
なかなか買うことができない。
今日は心しての早仕掛け、
11時前には出現した。

素焼き・いそべ・みたらし・こしあん・
レモンあんなどが揃う。
みたらし&こしあんを2本づつゲット。
ここの団子生地はとても好い。
上新粉と白玉粉のミックスだろうが
隠し味に砂糖も入っているようだ。

今一つの必買アイテムがしいたけ巻き。
煮しめたどんこの太巻きは
ハーフが1パックだけ売れ残っており、
これ幸いと購入した。

11時過ぎには飲み屋横丁の行きつけ、
「幸楽」のカウンターに到着。
11時開店だが、こんなに早い時間は初めて。
すべては「美好」の成せる業である。

刺身・天ぷら・もつ焼き、みなよろしく、
殊に白身の取り揃えがすばらしい。
大衆酒場とは思えぬほどに質が良い。

その日は、コチ・イトヨリ・イサキ。
白身魚をこよなく愛するJ.C.、
定番の鯛や平目もさることながら
稀少な鯒(こち)と鮍(かわはぎ)には
まったく目が無く、出逢ったら雀躍必至。

コチをドライの大瓶とともに通す。
あとは焼きとんのレバとシロをタレ。
シロは良く焼きにしてもらう。
ボール(焼酎ハイボール)に切り替えた。

コチ刺しに粉わさび&醤油は使わず、
紅葉おろし、刻みねぎ、ポン酢でいただく。
何とも美味なサカナくん。
今夜の晩酌には団子二兄弟が待っている。

 「だんごの三好 北千住店」
 東京都足立区千住1-20-9
 03-3882-6998

「幸楽」
 東京都足立区千住2-62
 03-3882-6456

2024年9月11日水曜日

第3621話 丼と 南蛮あれど せいろナシ

浅草寿町行きのバスを
荒川区・三ノ輪の大関横丁で降りた。
昼は鮮魚ととんかつ、
夜はそれらを主とした居酒屋にして
昼飲みも可能な「大八」に着くと、
あいにくの定休日。

仕方なくジョイフル三ノ輪をトボトボ。
昭和のパン屋「オオムラ」は
オーヴンの調子が悪いとかで長期休業中。
亡きめしとも・金ピカ先生と来た、
アチラ系中華は開いていたが
どうも中華の気分になれない。

日本そばの「大むら」があったな。
商店街がほぼ尽きる頃、暖簾が出ていた。
同じ商店街に「オオムラ」と「大むら」だから
パン屋とは縁戚関係にあるかもしれない。
そうだ、あとで訊いてみよう。

引き戸を引くと先客ゼロの店内。
遠慮がちに四人掛けテーブルへ。
ドライ中瓶をトクトクやって
壁の品書きに見入る。

真っ先に目を引いたのは、お皿四兄弟。
あなご皿・牛皿・かつ煮皿・
親子煮皿と来たもんだ。
あなご好きは即あなご皿に行きかけたが
待て、待て、ちょっと待て。
考え直せ、もう一度。
あなご丼やあなご南蛮もあるゾ。

そうだなァ・・・あなごせいろにするか。
店主に訊ねたら、あなごせいろは無い。
代わりにすすめられたのが
あなご皿&もりそばの組合せ。
ふ~む、それもいいでしょう。

運ばれ来たる皿を一見して理由が判った。
穴子は天ぷらではなく煮穴子。
これではせいろ仕立てにならないや。
鰻蒲焼きにも似た煮穴子をつまむ。
かなり甘ったるく何だかなァ。

もりそばはまずまず。
ただし、刻みねぎと大根おろしは好いが
山葵と、珍しくも生姜は
どちらもチューブと来たもんだ。

ガッカリしたせいでもないけれど
パンの「オオムラ」との関係を
訊きそびれちまいやした。

「大むら」
 東京都荒川区南千住1-21-4
 03-3807-5674

2024年9月10日火曜日

第3620話 三人娘の 揃い踏み

神保町シアターで観たのは
山口百恵特集の1本、
「花の高2トリオ 初恋時代」(1975)。
昌子・淳子・百恵、
デビュー間もない三人娘の揃い踏みだ。

監督は森永健次郎。
あまり知らない人ながら
「君恋し」「あゝ青春の胸の血は」
「夕陽が泣いている」など、
日活の歌謡映画のメガフォンを
とることが多かった。

三人揃ってボート部のキャプテンに
恋心を抱く他愛のないストーリー。
デキについてはあまり語りたくない。
脇を固めるフランキー堺と南田洋子が
救いといえば救いだろう。

もともと歌手としての3人には
一目も二目も置いているけれど
女優としてはあまり評価していない。
それを言い出したら
初代三人娘の美空ひばりもそうなんだが
仲間には何をやらせても芸達者、
スーパースターの江利チエミがいたからネ。

石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎と揃った、
男性陣のようにはいかないのだ。
歌う映画スターの先駆け、
鶴田浩二の存在も大きい。

スペースが余ってしまうので
その空白を埋めるわけでもないのだが
三人のマイベスト3を
紹介しておきましょう。

=山口百恵=
横須賀ストーリー
秋桜
パールカラーにゆれて

=森昌子= 
あの人の船行っちゃった 
おかあさん
哀しみ本線日本海

=桜田淳子=
しあわせ芝居
追いかけてヨコハマ
夏にご用心

名曲・佳曲のオンパレードである。

山口百恵特集は今月20日まで。
「風立ちぬ」「春琴抄」「霧の旗」
「泥だらけの純情」「ふりむけば愛」などが
まだ控えているものの、
観に行くのは「霧の旗」くらい。
さほどの百恵ファンではないのでネ。
好かったらまた一報に及びます。

2024年9月9日月曜日

第3619話 ダグウッドサンドをご存じ?

読者のみなさんはダグウッドという、
サンドイッチをご存じだろうか?
米国漫画「ブロンディー」に登場する、
いろいろな具材がブチ込まれた派手なサンドだ。

ダグウッドは金髪のヒロイン、
ブロンディーの亭主で
彼にちなんだサンドイッチがダグウッドサンド。
中身は何でもいいらしく、
とにかくごちゃ混ぜの具だくさんである。

ずいぶん昔の話だが仙台一の繁華街、
国分町の「ほそやのサンド」で食べた、
ダグウッドはハムと野菜のミックスサンド。
ほかのサンドに比べて高かった記憶が残る。

例によって映画の前の腹ごしらえ。
本日は神保町の老舗喫茶「古瀬戸」で
そのダグウッドサンドを
ドライの缶とともにお願いした。
店で缶ビールだとシラケるが
334mlの小瓶に対して350mlだから
文句は言えず、むしろありがたい。

広々とした店内の二人掛けに腰を下ろした。
ノートパソコンを開き打つ客少なからず。
運ばれた4切れのトーストサンドの内容は
ベーコン・レタス・トマトのいわゆる、
BLTに玉子(egg)とチーズ(cheese)。
よってBLTec(ビーエルテック)が
よりふさわしいんじゃないかな?

カプリとかじると予想した通りの味わい。
意外性はまったくないが
それなりの美味しさを感じさせる。
ただし、BLTを超えるほどでもなく、
アメリカ人なら玉子とチーズより、
ベーコンを増量してくれたほうが
歓ぶのではなかろうか。

壁を彩る絵画の枚数多かれど、
見入る客の姿は見えず、
単なる飾りに過ぎないようだ。
食事の場合はともかく
喫茶なら絵を楽しむ余裕もあるハズだが
そういうものでもないらしい。

常連ばかりだから見飽きたのかもネ。
それはそれとしてそろそろ
シアターに移動するとしましょう。

「古瀬戸珈琲店」
 東京都千代田区神田小川町3-10
 03-3233-0673

2024年9月6日金曜日

第3618話 京赤鶏のやきとり丼

天気はいいけど遠出は避けたい気分。
たまには近場で昼めしを済まそう。
コロナまん延のちょい前だったかな?
文京区・根津きっての甘味処、
「芋甚」の並びに炭火焼き鳥の店ができた。
未踏につき、行ってみよう。

「炭焼 まつい」は
逆L字形カウンターのみの小体な店。
8席くらいだったと思う。
その日は先客・後客どちらもゼロ。
だいじょうぶかいな?
ランチメニューはかくの如し。

京赤鶏のやきとり丼  1100円
京赤鶏のたたき丼   1100円
京赤鶏の親子丼    1100円
サーロインステーキ丼 1650円
本生マグロ中トロ丼  1800円

京赤鶏の炭火焼四種を
特製タレをかけたご飯にのせました
謳い文句に惹かれ、やきとり丼と
サッポロ赤星を発注した。

中瓶を追いかけて来たサラダは
ベイビーリーフ、人参&大根繊切り、
コーンが乗って胡麻ドレ。
おざなりなものではないネ。

焼き鳥は、正肉(もも)、ねぎま(もも)、
レバー、つくねの陣容。
加えて緑&赤ピーマン、
黄色いパプリカ、そしてナス。

ふっくら美味しく焼かれているが
炭火なのかな? あまり香ばしくない。
まっ、いいかー。
青小ねぎを浮かべた鶏スープは味わい深い。
夜の一品料理も紹介しておこう。

白レバ刺し とり皮ポン酢 イカ一夜干し
あさりバター 小アジ唐揚げ エイヒレ
豆腐サラダ ポテトサラダ タコ唐揚げ
赤鶏たたき 鰻とねぎの串焼き 鳥雑炊
           以上 880円
とりわさ お新香   以上 660円
やきとり五本コース     1650円
  〃 八本コース     2750円

安くはないが高くもない。
まずまずのお手頃感ではなかろうかー。
やきとりの部位はほかに
ぼんじり・手羽先・ハツ・砂肝・
軟骨といったところ。

夜に裏を返してみたい気もするけれど、
一品料理にもう一工夫あったらいいネ。
いずれにしろ近所のよしみ、
頑張ってつかあさい。

「炭焼 まつい」
 東京都文京区根津2-29-3
 050-8880-3164

2024年9月5日木曜日

第3617話 この建物が魅了する

毎日よく降りますねェ。
まったくイヤになってくる。
♪ 毎日 毎日 ぼくらは雨雲の
  下で降られて いやになっちゃうよ ♪
” 泳げ たいやきくん” さながらの
” 歩け オカザワくん" の今日この頃。

そいでもって今日は雨が止んだつかの間、
池袋行きのバスに乗り、千石1丁目下車。
昔、一度だけ利用した、
日本そば「進開屋」の暖簾をくぐる。

住まいを兼ねた二階建ての佇まい。
その趣きの濃度は東京随一と言ってよい。
店内左手に階段ならぬ、はしご段がむき出し。
柱時計ともども大正の昔をしのばせる。

創業は大正3年(1914)。
第二次世界大戦勃発の年である。
関東大震災で焼失したものの、
3年後には建て替えられ、現在に至っている。

1階に8人掛け2卓。
2階は住居につき、客が上がることはない。
入口に一番近い席に着いてほどなく
目の前に子連れ夫婦3人組が座った。

当店に飲みものはなく持ち込み自由ながら
向かいの酒屋はシャッターを閉じていた。
よっていつもの御用達、
牛めし「松屋」を千石駅前に見つけてあった。

通常のもり・かけが500円のところ、
小もり・小かけは300円にディスカウント。
よお~し、両方イッたろうやないかい。
ちょいと混んでおり、少々時間がかかった。

そばはやや太め、ツユはごくフツー。
刻みねぎの小皿2枚の片方には粉わさびもー。
かけからたぐり、もりもやっつけて、そば湯。
お勘定は600円也、ごちそうさまでした。

折からの驟雨に打たれながら
駅前の「松屋」に駆け込んだ。
英語なら
テイキング・シェルター・フロム・レイン
だネ。

押し慣れた中瓶をポチッ!
お冷やをガマンしたんでノド元を一気。
小ぶりになったところで
白山通りを横断し、近くのバス停へ。

ん? ビールなんかどうでもいいから
肝心のそばの味はどうだったんだ! 
ってか?
う~ん、ごめん、今日は語りたくない。

でもネ、この建物。
写真をパチリパチリ撮りたい向きには
外観・内観ともに必殺、もとい、必撮。
外観はともかくも内観を
撮らしてくれるかどうか知らんけど。

「進開屋」
 東京都文京区千石2-30-6
 03-3941-1307

2024年9月4日水曜日

第3616話 築百年屋で お結びパクリ

今日は自分が育った板橋区へ。
中山道の地下を走る三田線に乗って
板橋区役所前で降りた。

江戸四宿の一翼を担う旧板橋宿。
その仲宿を北に向かう。
歩き始めてすぐに瓦葺の建物。
築百年の「板五米店」だ。

昼めしはこのお結び専門店に決めてある。
持ち帰り客の脇を抜け、小上り、いや、
入れ込みの板の間に通された。
あらかじめ調べたメニューには
ソフトドリンクだけでビールが見当たらない。
よって今日も救世主、牛めし「松屋」の存在を
板橋区役所そばに見つけておいた。

靴を脱いで上がり、案内のオニイさんに
「ビールはないですよネ」
「ございますヨ」
「エエッ、あるの? 銘柄は?」
「スーパードライの中瓶です」
やったネ、訊いてみるもんだ。

食事のほうは基本的に
お結び定食・玄米お結び定食・
わっぱ定食の3種類。
好きな中身の2個を択べる、
お結び定食(900 円)を
卵焼きの小鉢付き(100円)でお願いした。

お結びの品揃えはかくの如し。
高菜・おかか・昆布・ツナマヨ・
梅ちりめん・いか明太・明太子・
さば味噌・ねぎ味噌・おかかチーズ・
塩・鮭・梅・野沢菜ちりめん・すじこ・
おやこ結び(鮭すじこ)・焼きたらこ・
ツナマヨ昆布・明太チーズ

すじこ&おやこ。
言わば、子&親子に白羽の矢を立てた。
九州麦味噌のみそ椀の具は油揚げとお麩。
こういう昼めしも
ホッコリした気分になれていいもんだ。
お勘定は1700円、お食べ得な気がした。

宿場町をなおも北へ往く。
テリー伊藤の人形が愛嬌を振りまく、
「から揚げの天才」を久々に見た。
近頃は揃ってつぶれて
ほとんど絶滅してるからネ。

通りの北端は石神井川に架かる板橋。
板橋区の名の由来となった橋である。
有難さを感じつつ慎重に渡った。
これを世の人は
”板橋を叩いて渡る” というらしい。
ほんまかいな? 嘘です。

「板五米店」
 東京都板橋区仲宿40-1
 03-6915-5576

2024年9月3日火曜日

第3615話 田端新町 日はまた昇る

この日は早く家を出た。
午前中にそこそこ散歩を済ませたい。
これくらいは朝めし前である。
もとい、昼めし前だった。

日暮里・舎人ライナーと
都営荒川線を乗り継ぎ、荒川区・小台に到着。
狙いは初めて歩く旧小台通りだ。
またの名を小台銀座という。

バスが走る小台大通り(あっぷるロード)に
メインストリートの座を奪われ、
西側を並行して走る旧小台通りはさびれた。
店々のシャッターは8割方下りている。
飲食店は数軒しか開いていない。

およそ1キロの道のりを突っ切り、
田端新町3丁目の明治通り交差点。
向こう側に古びた日本そば屋が見えた。
店先に進むと、屋号は「日の出屋」。

当店もさびれ感漂うが趣きある佇まい。
昔は繁盛したものと思われる。
ちょいと早いが昼めしにしようかー。
相席用の大テーブルに着いて
一番搾りを飲りながら品書きの吟味。

ん? 花小町?
洒落たネーミングながら
たぬきそば・ごはん・コロッケだとサ。
その名に似合わぬダサいトリオだな。
合わせ天丼・合わせかつ丼・
合わせ開花丼なんてのもあった。
合わせは丼とそばのセットのことで
それぞれに減量されている。

開花丼かァ・・・頼んだことないなァ。
よお~し、いてまえ!
文明開化後、明治天皇の食肉奨励のおかげで
生まれた産物だから開化丼か正しかろうが
近年は牛肉にとどまらず、
豚肉にも適用されるようになった。

J.C.はあえて牛肉使用を開化丼。
普段は他人丼と呼ばれる豚肉ならば
開花丼と表記することにしている。
開化と開花はキッチリ区別したほうが
スッキリするというものだ。

コシの強いもりそばは期待以上。
つゆが下世話な甘みを感じさせ、
池之端の行きつけにも似て好きなタイプ。
豚肉の開花丼も薄味仕上げで好かった。

客足は途切れることなく、
地域に密着した賑わいを見せている。
コロナ下では苦労したようだが
田端新町に日はまた昇っているのだ。
レシートに "昔の香り 今の味"
一筆ありました。

「日の出屋」
 東京都北区田端新町3-13-7
 03-3893-8734

2024年9月2日月曜日

第3614話 夕雀 止まり木止まる 日暮れどき

映画を2本続けて観たあと、
渋谷の街で晩酌といきたい。
この日は早めの帰宅を余儀なくされており、
そうゆっくりはしていられない。

並んでるんだろうな? 
思いつつも道玄坂を下り、
1948年創業の「森本」へ。
昔から渋谷の焼き鳥といえば此処だ。
時刻は17時を回ったところ。
スッと入れたが中で5分少々待たされた。
5分程度は御の字(おんのじ)である。

何年ぶりかな? 
帰宅後調べたら、2012年12月以来だった。
あちこちに見慣れた短冊が貼りついている。

止まり木を われにもわけよ 夕雀

"長話はご遠慮願う" そんな店側の要望もー。
さらに丸太2本の止まり木は
客に長居をさせぬためだろう。
長っ尻(ちり)すると尻が痛くなる。

ビールは生がドライ。
中瓶はドライ・黒ラベル・キリンラガー。
サントリー以外はオールスターの揃い踏み。
正しい飲み屋の姿が此処にある。
当然のようにドライをー。

つまみはらっきょうの赤ワイン漬け。
赤じそもタップリ入り、
赤く染まった、らっきょうが9粒。
なかなか美味し。

焼き鳥は最初に、ハツ(心臓)・
ぼんご(ぼんじり)・ももを塩でー。
相変わらずの大串が J.C.にはちと多い。
串に打たれるのは基本8ピース。
粉山椒と七色を駆使して食べ進む。

続いて、血ぎも・つくねをタレでー。
冷酒に切り替えようとも思ったが
この日は昼めし抜き。
よってビールを飲んでいない。
久しぶりに17時過ぎの本日初麦酒だ。
正しい飲み助の姿が此処にある。

周りを眺めていると
短時間ではばたく夕雀は単身者のみ。
二人連れやグループ客は長っ尻ばかり。
昔はこんなじゃなかった。
無粋な客などほとんど見かけなかった。
これも時の流れ、世の流れであろうかー。

中瓶2本、焼き鳥5本、らっきょう、
お勘定が3050円、止まり木には45分。
1羽の夕雀はこれからただちに
「飛びます、飛びます!」

「渋谷 森本」
 東京都渋谷区道玄坂2-7-4
 03-3464-5233