2011年12月9日金曜日

第202話 久しぶりだネ 隼人瓜

笹塚観音通りの「常盤食堂」に赴いた際、
近所のの青果店で珍しいものを見つけた。
隼人瓜(はやとうり)という瓜の一種で
実に5年ぶりの再会であった。
最後に見たのは水上温泉近くの朝市だった。
ただちに買って帰り、浅漬けにして食べ、
舌先に涼を呼び込むシャッキリ感を堪能した。

その前の出会いはかれこれ10年以上になろう。
散歩の途中、葛飾区・青戸の民家で実をつけているのを発見。
青戸は変ンな町で京成電鉄の駅や近くの中川に架かる橋の名は
それぞれ青砥駅、青砥橋なのに、地番は青戸なのである。
この町は食の不毛地帯。
食堂にせよ、居酒屋にせよ、これといった店がまったくない。
都心から行って一つ手前の立石とは大違いなのだ。

中川を臨む民家の塀の外に垂れ下がる隼人瓜を見て
無意識に周りを見渡した。
あたりに人影はない。
ということは目撃者がいないことを意味する。
これはもう完全にコソ泥の心理、
あるいは我慢がならなくて立ちションに及ぶ男の心理ですな。

蜜柑や柿ならいざ知らず、隼人瓜なんて誰も知らんだろうし、
ましてや採って食おうなんて酔狂な輩は皆無であろう。
(遠回しに罪を正当化している)

でもって駅前に戻り、
コンビニで飲みたくもないおーいお茶を購入する。
もいだ瓜を入れる袋が必要だったのだ。
犯行現場に再び現れ、
色ぶりのいいヤツを三つばかり失敬した。
どちらサンのお宅か存ぜぬが盗んだのはこのワタシです。
すでに時効成立とはいえ、その節はスイマセンでした。

早いとこ現物を見せろ! ってか?

はいコレです

スライスして一晩浅漬けにしたのがこちら。

塩漬けの実山椒を散らしてみた

もちろん山椒がなくても構わないし、
大葉の千切りなんかは相性がとてもよろしい。
スライスは微妙に厚さや形状を変えたほうが
食感のヴァリエーションを楽しめる。

隼人瓜はアフリカや南米でもポピュラーな野菜。
日本へは真っ先に鹿児島県に渡来した。
薩摩隼人に因んでのネーミングとなった由である。
八百屋のオジさん曰く、今回のは千葉産とのこと。

同じ八百屋で赤かぶをついでに買ってきた。
こちらは甘酢に漬ける。

皮の色が酢に溶け出して真っ赤

隼人瓜と赤かぶを食べ比べてみた。
迷うことなく軍配が挙がったのは隼人瓜のほうでした。