2011年12月26日月曜日

第213話 ラ・ボエーム (その2) 古く良かりしニューヨーク Vol.3

1990年代半ば、
とある年のクリスマス・イヴ。
グリニッジ・ヴィレッジの「La Boheme」で
晩餐を楽しんでいた。
今日はそのつづきである。

=ラ・ボエーム= つづき

リストから選んだシャサーニュ・モンラッシェが
売り切れだからと、
代わりにボルドーをすすめてきたギャルソン、
何、考えてんだか!
このニイさん、まだまだ甘いと言わざるを得ない。


当方がブルゴーニュに固執すると、
セラーから引っ張り出してきたのは
シャンボル・ミュジニーの1988年。
いいでしょう、いいでしょう、これならいいでしょう。


アミューズはローズマリーの香る小さな素焼きのピッツァ。
1切れ口元に運ぶと素朴においしい。
メニューのかなりの部分をピッツァとパスタが占めている。
「ビストロなのかトラットリアなのかハッキリしろい!」―
ここで憤慨しても始まらない。
プッチーニの「ラ・ボエーム」だって舞台はパリでも
れっきとしたイタリアオペラだからね。


オマールのビスクは甲殻類の旨みに
サフランの風味がからんで濃厚な仕上がり。
ブルゴーニュ風エスカルゴのキャセロールの底には

ガーリックバターが溜まっている。
もったいないのでバゲットにからめとって食べた。


ジューシーな若鶏はシンプルなローストもいいし、
ほうれん草を詰めたラ・ボエーム風もけっこうだ。
鴨もも肉のコンフィ(脂煮)は少々しょっぱかったけれど、
滋味あふれる一皿ではあった。


アズナヴールの「ラ・ボエーム」のニュアンスをお伝えするために
今日は訳詩をお送りしながら、DJ風にお別れします。


♪  リラの花咲く窓辺
  もとめ合う二人の愛の巣
  ボクは貧しさに飢え
  キミは絵描きたちに
裸をさらす
  ラ・ボエーム ラ・ボエーム  ♪
         (訳詩:J.C.オカザワ)


ということで
サヨナラ サヨナラ サヨナラ!

「La Boheme」
 24 Minetta Lane
 212-473-6447