2011年12月29日木曜日

第216話 今年のクリスマス・イヴ (その1)

日本におけるクリスマス文化というヤツは
いつ頃から始まったのであろうか。

調べてみたら1552年、
陰暦12月9日(陽暦12月24日)に
山口県・山口市において当地の宣教師、
コスメ・デ・トルレスらが日本人の信者を
集めて祝ったのが日本のクリスマスの始まりだという。
ただし、そこから恒例の行事となったわけではなく、
キリスト教弾圧などもあいまって長きに渡り葬り去られた。

復活したのは明治時代後期。
明治18年、横浜で創業した「明治屋」が
同33年に銀座に進出し、クリスマスのデコレーションを
店頭に飾りつけたのがブームのさきがけとなった由。

時代は下って昭和30年代。
イヴやクリスマスの夜ともなれば、
都会のサラリーマンは盛り場で飲み歩いていた。
社内や仲間たちの間ではパーティーもよく開かれた。
それがある時期はファミリーで
ローストチキンとケーキを囲むようになり、
最近はカップルでイヴのディナー後、
ホテルにお泊まりのパターンが主流となった。

こういうヘンテコリンなクリスマスの過ごし方は
世界広しといえどもこの国だけではなかろうか。
欧米では第一に”家族とともに”であろう。
イヴもクリスマスも祝日にならない日本で
ファミリー・クリスマスは今一歩定着しにくい。
その代わりイヴ・イヴが天皇誕生日。
将来、この日を家族で祝うようになるのかも・・・。

さて、今年のわがクリスマス・イヴは
いろいろ忙しい一日となり、昼は東京大学に出掛けた。
安田講堂前広場の地下にある中央食堂で
友人のカガクくんとランチをともにしたのだ。

現地での待ち合わせは午後1時。

スペクタキュラーな光景が拡がる

よく見ると乳幼児を連れた家族も食べてるよ。
東大内の食堂は一通り回ったが
天井の高いここが一番快適なのだ。

注文したのは中央食堂名物の赤門ラーメン。
まずはご覧くだされ。

汁なし麻婆あんかけ麺といったふう

東大生に倣い、赤唐辛子の粉と
写真じゃ判らないが辣油(ラーユ)をたっぷり振り掛ける。
二口、三口と食べ進んだが、いやはや辛いのなんのっ!
学食の味としてじゅうぶんに合格点ながら
おかげで冷たい麦茶を4杯も飲んじまったぜ。

カガクくんは秀才といえどもまだまだお子チャマだ。
クリスマス坦々翡翠麺なんてのをすすっている。
のぞいてみると、ほうれん草を打ち込んだ翡翠麺の上に
鶏肉やらコーンやら紅生姜が乗っかっていた。

食べ終わってしばし歓談後、セルフで食器を下げる。
下げ口の前にクリスマスメニューのボードがあった。

ゲッ!クラムチャウダーうどんは食いたかねェナ

ふと気づくと傍らのカガクくんの両まなこが
銀座コージーコーナーのケーキを食い入るように見つめている。
くわばらくわばら、余計な出費と時間の浪費は御免とばかり、
すかさず彼の背中を押しこくって、早々に立ち去りましたとサ。

=つづく=

「東大中央食堂」
 東京都文京区本郷 7-3-1
 03-3814-1541