2013年2月11日月曜日

第510話 みちのくひとり旅 (その4)

夜更けの仙台に到着。
この街きっての繁華街・国分町の先にある宿へ直行した。
普段のようにテクテクと歩いて―。
ルームでまたもや缶ビールを2缶開けた。
冷蔵庫にあったロング缶とレギュラー缶を1each。
あとは湯船につかって身体を温めたら
ベッドにもぐり込んで爆睡である。

白状すると、この日は徹夜明け。
明け方、自宅の近所の「吉野家」にて
牛皿と生玉子と半ライスで腹ごしらえを済ませ、
熱い風呂はカラスの行水だ。
そうして家を出てきた。
上野―宇都宮間の車内で1時間ほどウトウトしたが
ボックス席ならまだしも、横長対面の座席じゃ寝た気がしない。
さすがに疲れたビー!

よく寝たせいか、翌朝の目覚めはハッキリ・クッキリ東芝さん。
このCMを覚えている人はかなりのご年配だろう。
何も飲まず、何も食わず、昨日来た道を仙台駅へ。
仙山線に乗り、目指したのは山形だ。

仙山トンネルを抜けると、そこは雪国だった。
収穫されないままの柿の実が
ぶら下がったまま凍りついているのを何度も見た。
もはや死語同然の表日本と裏日本、
いわゆる太平洋側と日本海側の気候の差は
残酷なほど歴然である。

 閑さや 巖にしみ入る 蝉の声

松尾芭蕉がこの句を残した山寺(宝珠山立石寺)に
興味を引かれたものの、時期が時期、
とても詣でる気にはなれない。
冬山、殊に雪山はキライだ。
スキーなんか金輪際してやらないんだもんネ。
夏になったら鳴きながら
必ず帰ってくるあのつばくろのように
また訪れれば、それで済むことだ。

仙台発の普通電車おりたときから山形駅は雪の中。
吹雪とまではいかないが粉雪が舞っている。
酔狂な店主のいる居酒屋でも開いていないものかと、
駅周辺を徘徊してみても、店という店はとびらを閉ざしている。
あたり前田のクラッカー、この日は大つごもりだもの。
いや、それどころか傘のない身、
オマケに薄着なもんだから雪の山形は相当シンドい。
ものの15分で早くも限界に達し、
尻尾を巻いて駅舎へ逃げ帰るの巻であった。

=つづく=