2013年2月19日火曜日

第516話 バカじゃなかったウチの猫

先週のとある昼下がり。
わが家の愛猫・プッチは
かような姿で陽光を浴びつつ、惰眠をむさぼっていた。
まさに”太陽がいっぱい”
アラン・ドロンも真っ青である。

ここでJ.C.に妙案が浮かんだ。
キッチンに立ってヤツの大好物の鮭缶を開けようと思ったのだ。
鮭缶といっても豪勢な紅鮭ではなく、
安価なカラフトマスのそれである。
プルトップを引いたときの音にはしごく敏感なので
ほとんど音を立てずに、そお~っと開けた。

しかし、そんな企てをあざわらうかのように
ヤツは猛ダッシュ、キッチンに飛び込んで来たのでありました。
ホント、いい耳してるヨ。
小缶より割安なので大缶を買うようにしてるから
一度にやったら多すぎるので
おおよそ4~5回に分けて与えている。

昨夜、冷蔵庫にまだ残っているのを思い出し、
空っぽのフードトレイに入れてやると、
匂いは嗅いだものの、ズルズルとあとずさり。
おかしななこともあるものだと、
ドライのキャットフードをシャケの脇に添えてやっても食わない。
「なんで食わないのっ!」―怒鳴ってみても
無言で飼い主を見上げるばかりなり

もしやと思い、缶の残りを嗅いだらちょいと匂う。
まあ、許容範囲だろうと一サジ口に含む。
ややっ、イッチャッてはいないけど、少々ヤバかった。
中身を処分し、トレイをキレイに洗浄し、
これまた大好物のロースハムを献上したら
いきなりバックンバックンの猛烈な食いっぷりである。
ふん、まったくいい耳と鼻をしてやがるぜ。
悪態をつきながらも
「まんざらバカじゃないな、オマエは」―アタマをナゼナゼしてやった。

そういやあ、年末年始に数日間、家を空け、
帰宅して残りの鮭缶をやったときもそうだった。
これが二回目だが、ともにシャケは傷みつつあった。
臭覚の鈍い人間なら平気で食べられるレベルの異臭を
ちゃんと嗅ぎ分けて、見向きもしないのだから大したものである。

最近、気になっているのはときどき食べたモノを戻すこと。
しかもドライフードが原形のまま出てくるから心配だ。
噛まずに飲み込んじまってるんだな、こりゃ。

2004年2月29日生まれだからもうじき満9歳。
7歳以上の老猫用フードで養っているが
そしゃく力や消化力が衰えているらしい。
砕いて与えるにもキャットフードってのは意外に硬いものなのだ。
明日にでも金づちを買いにいかなきゃなるまい。
これが介護の始まりでないことを祈るばかりの今日この頃