2013年2月12日火曜日

第511話 みちのくひとり旅 (その5)

初めてやって来た山形県・山形市。
県内でもかつてゆかりの深かった米沢市はたびたび訪れた。
それだけにお初の山形では地元色豊かな酒場で酒が飲みたい。
しかしこの天候、しかも大晦日とあって、にっちもさっちもいかない。
まったく策ナシ、打つ手ナシの立ち往生である。

仕方なく駅舎の中の店舗を物色した。
そうして入店したのは「平田牧場」。
何年か前、コレド日本橋の支店で食事をしたことがある。
ロースカツを食べて、その印象はよかったことを覚えている。
あちこちに店舗を展開している店は好まないが背に腹は替えられない。
朝から何も口にしていないので腹はペコペコ。
昼めしどきを過ぎており、飲食店は中休みに入る時間帯だ。

この夜は仙台市内の友人宅に招かれていた。
察するにステキな晩餐が用意されているハズ。
さすれば午後の遅い時間にとんかつでは重過ぎる。
人のウチに呼ばれていながら、箸がすすまないのでは見識を疑われる。

メニューを丹念に吟味すると、
生ビールの中ジョッキとおつまみサイズのかきフライが
セットになって800円というのがあった。
いいじゃないの、いいじゃないの、一も二もなくそれにした。
2カン付けにタルタルソース添え

味のほうはともかくも、これだけじゃ腹の足しにならないや。
つまみメニューから三元豚の唐揚げを選んだ。

ところがこの豚野郎が大ハズレ。
いや、豚に罪はないけどサ。
硬いうえにパッサパサときた。
豚肉専門店がこんなん出してちゃダメだわ。
しかも本拠が酒田市とはいえ、
山形県は「平牧」のホームグラウンドじゃないの。

あんまり不デキだから写真は載せない。
生ビールのお替わりをする気にもなれず、仙台にトンボがえりとなった。
何のために山形くんだりまで出掛けたのか判らない。
仙山線の車窓だけが旅愁のなぐさめである。

そうしてこうして年越しの夜。
「紅白」を観ても知らない名前と顔ばっかし。
年々この傾向が強まるなァ。
まっ、美酒とご馳走があれば、それでじゅうぶんですがネ。

歌合戦が終わり、2012年も残りわずか。
「ゆく年くる年」では初っ端に
地元仙台の大崎八満宮が登場してビックリの巻だった。

=つづく=

「平田牧場 山形店」
 山形県山形市香澄町1-1-1 ホテルメトロポリタン山形 2F
 023‐679‐5929