2015年1月2日金曜日

第1004話 緑のたぬきで力ぬき (その1)

お正月である。
今回の年末年始は大晦日から元日にかけ、徹夜でマージャンを打った。
「紅白歌合戦」とも「ゆく年くる年」とも除夜の鐘とも一切無縁、
ただひたすらにポン・チー・ロンの繰り返しだった。

明けて元旦、帰宅したときはお腹がペコペコ。
それもそうだヨ、大晦日の18時ににぎり鮨を1人前食べただけで
およそ12時間、飲みもの以外は何も口にしてないんだからネ。

この日は昼過ぎから旧友宅に招かれている。
ひと眠りする前に新年の朝食を軽くとろうと思った。
今まであまり食べなかった朝食だが最近はときどきとるようになった。

和食の場合の定番は小粒納豆、焼き海苔、味噌汁に何かもう1品、
塩じゃけ、たら子、目玉焼き(玉子は1個)、しらすおろしあたりだ。
洋食のケースはもっぱらトースト&バター。
食パンはPascoの8枚切りが気に入りである。
サンドイッチ(ハムか野菜が多い)のときには同じく10枚切りを使う。
トーストと紅茶のみがほとんどながら
気が向けばボイルドエッグ(3分)か野菜サラダを付けることも。

朝食といえば、毎日食べてたニューヨーク時代を思い出す。
近所のデリに出前注文するのだが
もっともよく食べたメニューは下記の通りだ。

 トーステッド・ビアリー(イングリッシュマフィンになるときも)
 w/ライトバター(こう言わないとバターの塗りすぎになる)
 3ミニッツ・ボイルドエッグ
 パンフライド・ボローニャソーセージ Not too much cooked
 パイナップルジュース

何度同じものを食べたことだろう、懐かしいなァ。
デリで電話を取るアンちゃんには
「Hey J.C., Are you from Hawaii ?」―なんてよく訊かれたネ。
毎朝、パインジュースを飲んでるんだから、さもありなん。

さて、今年の元旦である。
いただきものの切り餅があるから雑煮でも作るとするかの。
いや、正月早々、面倒くさいねェ。
どうするべえかな?
すぐにピカッとひらめいた。
食品棚に緑のたぬきを見とめたのだ。

ここで大方の読者は
ハハ~ン、緑のたぬきを応用して力そばだろ? と思われたに違いない。
ところがどっこい、そうじゃないんですな。
みなさんは日本そば屋における、
天ぬき、鴨ぬき、おかめぬきの存在をご存知だろうか?
天ぬきとは天ぷらそばのそば抜きのこと。
下町の粋人はコレを日本酒のアテにする。
鴨南蛮のそばぬきが鴨ぬき、
おかめそばのそばぬきならおかめぬきになるわけだ。

=つづく=