2015年1月14日水曜日

第1012話 本を読む少女 (その2)

今話のアップが遅れ、失礼しました。
稿は書き上げたものの、PCにインプットし忘れました。
今、ランチから戻って気がつき、遅ればせながらであります。
お許しください。

暖かい日々が続く新年の東京。
朝からまぶしい陽射しに恵まれた好日の夕刻、
理髪のために渋谷へ向かっていた。
地下鉄・千代田線の明治神宮前(別名・原宿)で下車する予定だ。
ヘアサロンは渋谷区役所の真ん前にあり、
最寄り駅は渋谷か明治神宮前だが代々木公園からもそう遠くない。

さて、千代田線の車内であった。
ふと見掛けた、いや、見初めたと言い切ってもいいかもしれない。
とにかく、一人の少女のことだ。
下心もないのになぜ心惹かれるものがあったのでしょう?
読者も一緒にお考えください。

そう、サブタイトルにあるごとく、彼女は本を読む少女でありました。
いやあ、電車内で読書に耽る乙女を見るのは実に久しぶり。
昨今、老若男女を問わず、
本を読む乗客がめっきり減ったからねェ。

ここ数年、ラッシュアワーを極力避けているので
実情を把握しきれてないけれど、
出版社の経営不振から察するに
本が売れないんだから読まれるハズもない。
ただし、電子書籍がそこそこの人気を得ているようで
傍からは読書に見えなくとも
実際は活字になじんでいる向きも少なくないのだろう。

本を読む少女にビビッときたのはほかでもない。
彼女の横顔がインスパイアーさせたものは
1枚のフランス絵画であった。
絵にそれほどの興味を示さない方でも
フラゴナールの「読書する娘」はご存知なのではないか。
シンプルなのに心に染み入る少女の横顔であり、
眼差しであり、指先であった。

ジャン・オノレ・フラゴナールは18世紀後半、
ロココ美術最盛期のフランスで活躍した。
「読書する娘」と並び称される傑作、
「ぶらんこ」は後世の画家たちに多大な影響を与えている。
バブル華やかなりし頃の東京で一世を風靡した感すらある、
ルイ・イカール(米国ではルイス・アイカート)など、その最たるものだろう。

それにしても本を読む女性はいいですねェ。
マジマジと見たわけではないが、美人というほどではなかった。
さして美しくはなくとも何とも好もしい表情に
オジさんの頬はつい、ゆるんでしまう。

若い女性にはケータイやスマフォを手にするよりも
文庫本でいいからサ、書を開いていただきたいなァ。
そのほうがはるかに利発に、そして魅力的に見える。

ん? 車内で化粧に励む女性はどうだってか?
ケッ、ああいうのは女性とは言わないでしょ。
オンナとも呼べないネ。
あの手はさしずめメスって言うんだヨ、あったりまえじゃん!