2015年1月1日木曜日

第1003話 北の横丁をさすらう (その11)

新年おめでとうございます。
そして本年のご愛読、よろしくお願いいたします。

  ♪ 夜がまた来る 思い出つれて
   おれを泣かせに 足音もなく
   なにをいまさら つらくはないが
   旅の灯りが 遠く遠くうるむよ ♪
          (作詞:西沢爽)

いきなり元旦にはふさわしからぬ曲を載っけてしまい、失礼さんにござんす。
1960年リリースの「さすらい」を歌ったのはマイトガイ・小林旭。
哀愁を帯びた歌詞に哀調のこもるメロディー、
これがフィリピン・ルソン島へ出征中の日本兵の間で歌われた、
兵隊節とはつい先日まで知らなんだ。

そう、まだ仙台の横丁をさすらっている。
餃子の老舗「八仙」でニラモツ炒めとラーメンを食べ終えたところだ。
この夜、「八仙」にて印象に残ったのは女将サンのひとこと。
J.C.の隣りの隣りのOL二人組はビールを飲みながらご機嫌もいいとこ。
化粧品に始まって会社の話、オトコの話、
まあ、次から次へとしゃべること、しゃべること、まるで機関銃連射の如し。
二百三高地のロシア軍も真っ青だぜ、こりゃ!

その二人組が注文した餃子2人前が焼き上がった。
皿を差し出した女将が教育的指導を発したネ。
「コレだけはおしゃべりストップして食べてね、ヘリが硬くなっちゃうのヨ」―
そうでしょう、そうでしょう、一所懸命包んで焼いた名代を
うっちゃられてのおしゃべり三昧じゃ、店側もヤッてられんわな、これは―。

とまれ、その夜は更けた。
ワシントン広場の夜も更ければ、仙台・文化横丁の夜も更ける。

翌日はDサンと晩飯を食う予定。
Dサンは下戸につき、クルマで迎えに来てもらった。
「とんかつ杉」なる推奨のとんかつ屋に連れていかれる。
おや、ちょいと待てよ、前夜、壱弐参横丁の共同トイレ前に
貼り出されていた仙台・名所番付にその「杉」を見掛けたゾ。
東前頭筆頭に「とんかつ杉」がっ!
ちなみに「八仙」は西の正大関ときたもんだ。

「杉」ではヒレかつとロースかつを分け合って食べた。
3枚付けのヒレかつ

やや厚切りのロースカツ
おお、さすがに実力店だけあってどちらも旨い、ウマい。

ただ一つのイチャモンはロースの向きが右・左、逆じゃないのかい?
焼き魚のアタマが右にあったら食べ手は強い違和感を持つハズ。
とんかつにせよ、ステーキにせよ、”向き”は大切ですヨ。
そう言いながら、みちのくの旅は終わりを告げたのでありました。

=おしまい=

「とんかつ杉」
 宮城県仙台市若林区志波町18-18
  022-283-1968