2016年8月15日月曜日

第1425話 リオの男たち (その4)

錦織圭のおかげで、いや、せいで徹夜になってしまった。
ナダルのサービスゲームを二度ブレークした、
第2セットもすんなり取るかと思いきや、トンデモない落とし穴。
タイブレークの末、そのセットを落とす。

心の中のプレッシャーと戦い、
五輪に巣食う魔物に襲われながらの第3セット。
観ているこっちはハラハラドキドキの巻である。
流れは完全にナダル。
にもかかわらず、よくぞ勝ち抜いてくれたものだ。
この銅は他競技の金に匹敵すると言ったらホメ過ぎだろうか。
とまれ、実に価値ある快挙だったと思う。
いや、あっぱれ!

カヌー・スラローム、男子カナディアンシングルの羽根田卓也。
競泳男子800メートルリレーの4人。
心に響く銅メダルが続々と生まれるリオデジャネイロである。

羽田は10年の長きに渡ってスロヴァキアにカヌー留学した。
この国がカヌーの本場だったことを今回初めて知った。
首都・ブラチスラバしか訪れていないので
自然とのふれ合いがなく、
渓流・渓谷に恵まれた国とはついぞ知らなかった。

日本とはゆかりが薄い東欧の小国に
行こうと決めた本人もスゴいけど、それを許した父親も立派。
こういうのを父子鷹というのでしょうネ。
二人にあっぱれ!である。

男子800メートルリレーもよくやってくれた。
1964年、東京五輪以来の表彰台で
52年前のあの瞬間はよく覚えている。
記憶が確かならば、200m×4リレーは
競泳男子の最終種目だったハズ。
どうにかこうにか3着にすべり込み、
男女を通じて大会唯一のメダルを獲得したのだった。

振り返れば、金メダル16個を量産した開催国・日本も
水泳界は暗黒の時代真っただ中だった。
すでに最盛期を過ぎた自由形の山中毅、
女子背泳ぎの田中聡子、
二人にとってメダルは見果てぬ夢に終わる。

殊に山中はローマと東京、
五輪と五輪のすき間に
何度も世界記録を塗り替えて日本国中を熱狂させ、
長嶋・大鵬と並ぶ国民的英雄だったのだ。

驚愕すべきは当時のアメリカ。
競泳全18種目中、実に13個の金メダルをかっさらっていった。
残りの5個はオーストラリアが4、旧ソ連が1。
ドイツ・イギリス・フランス・日本、全部まとめてゼロである。
4年後のメキシコシティと合わせて、
この2大会はアメリカ水泳陣が世界を完全制覇していた。

さてリオはここでいったん休憩。
閉会後にあらためて振り返りたい。

=おしまい=