2016年8月23日火曜日

第1431話 高麗人参に困った! (その6)

けっこうな量の高麗人参を貰っちまって困っている。
それもそうだヨ、高麗は”こま”と訓ずるんだ。
これといったアイデアも浮かばぬし、
またもや胸に思案の月をみることとなった。
まあ、すぐにイタむもんでもなし、
じっくり考えるとするかの?

それはそうと、かつて埼玉県南部に高麗郡(こまぐん)ありき。
現在は日高市とその名を変えているが
高麗川、あるいは高麗川駅に旧名をとどめている。
今は昔、西暦716年のこと。
朝鮮半島から亡命して来た高麗人がおよそ1800人、
この地に入植して原野の開墾に勤しんだのが事の始まり。
彼らは今で言う難民に等しく、
何やらロシア革命後に渡来した白系ロシア人を連想させる。

そもそも高麗は唐&新羅の連合軍に滅ぼされた高句麗後期の国名。
その後、新羅を攻め落として復興した国家が再び高麗を名乗る。
こちらは後高句麗とも呼ばれた。

ともあれ、大和朝廷はこの地を高麗郡と名付けた。
今年はちょうど建郡1300年のアニヴァーサリーに当たる。
海から遠く離れた未開地の開拓に
彼らは艱難辛苦をなめただろうが
幸い、今でいう荒川水系の河川に恵まれており、
作物の育成に寄与したものと想像される。

おっと、く高麗人参の対策だったヨ、問題は―。
とっかかりを求め、ネットでいろいろレシピを調べた。
確かにママが唱えたように蜂蜜漬けはあった。
あとはブランデーやホワイトリカーを使った人参酒。
それに先述した参鶏湯である。

一般的に参鶏湯は丸一羽のチキンを使用する。
それではサイズが大きすぎて手に余るし、
第一、食べ切れるかどうか、知れたものではない。
もち米だのナツメだの、腹に詰め込む材料の調達も面倒くさい。

そこで一案。
手抜き料理は得意だから参鶏湯もどきに挑戦してみよう。
一種の鍋料理につき、コトコト煮込めばそれで済む。
ただし、大量の高麗人参をすべて投入したらバランスを欠く。
独特の匂いと苦みとエグみが鍋全体を占拠したら
とても食べられたものではない。

ここは失敗したときのリスクヘッジが肝要だ。
思い浮かんだのは豚の角煮、
いわゆる東坡肉(トンポーロウ)でありました。
冷蔵庫の野菜庫をチェックすると、脇役はほぼ完ぺき。
おっとり刀で最寄りのスーパーに出向きましたとサ。
われながらけっこうフットワークが軽いじゃん、ヘヘ。

=つづく=