2016年8月22日月曜日

第1430話 高麗人参に困った! (その5)

桂銀淑(ケイ・ウンスク)の「私には貴男だけ」。
歌詞につたなさが目立つわりに曲調はすばらしい。
オリジナルは韓国語バージョンで作曲はキム・ヒョンウ。
おヒマな方は、ぜひ youtube を見聞していただきたい。
オススメは韓国のどこかの街におけるライヴ版、

 ♪ 歌って踊って、待っている女心、私には貴男だけ ♪         

である。
3曲メドレーの3番目に収録されており、
韓国語の作詞はユン・イクサム。
歌の魅力を引き出している点で日本語よりも優れている。
桂銀淑の歌声はもちろんのこと、
インタールードのトランペットが耳朶に快感を呼ぶ。

驚いたのは画像に映し出されるホールの観客たち。
1990年前後だろうか、一様に地味な衣服を身に着け、
行ったことはないけれど、どことなく北朝鮮の雰囲気が漂うのだ。
少なくとも近い過去のソウルや釜山ではあるまい。

まあ、そんなこんなで2~3ヶ月に1回くらい、
スナック「Y」に顔を出すようになった。
先客もなければ後客もないことが多く、
(これでよく経営が成り立つなァ)―
そんな思いを抱きつつ、ビールや焼酎を飲みながら
韓国歌謡に耳を傾けている。
時間も空間もスリップした感があり、そこが楽しい。

月初め、くだんのM鷹サンと浅草で一飲を喫したあと、
どちらからともなく「Y」に立ち寄ってみようか・・・
てなことに相成った。
クルマで到着し、扉を開けると例によって先客はゼロ。
大部屋のカラオケボックスに
ママのサービスが付加されるようなものだ。
カラオケボックスより、カラオケスナックを好むわれわれだが
ボックスと化したスナックの居心地もまた快適である。

2時間ほど滞在した帰り際、
またもやおみやげの包みを手渡される。
中身はなんと高麗人参だというではないか―。
高麗人参ねェ・・・。
はるか昔、ソウルを訪れたとき、
人参茶を何杯か飲んだ記憶がある。
釜山ではこれがたっぷり入った、
参鶏湯(サンゲタン)の昼めしも食べたっけ―。

だけど、こんなん貰ってもなァ。
ママは蜂蜜に漬けろと言うが蜂蜜を食する習慣もないしィ。
オマケに相方のぶんまで押し付けられ、困り果てたJ.C.であった。

=つづく=