2016年8月24日水曜日

第1432話 高麗人参に困った! (その7)

予期せぬ貢ぎ物の高麗人参を
ほったらかしにしておくこと能わず。
思いついた料理は参鶏湯と東坡肉である。
前者は押しも押されもせぬ正統派、
後者はアイデア先走りの亜流だ。

最近、関係がこじれつつある韓国と中国。
第三国の民としてニュートラルな立場を貫き、
それぞれの国民的料理に手を染めることとした。
奇しくも目下、日中韓の三国外相会議が開かれている。

さて、近所のスーパーマーケットで買い求めたのは
300gほどの鶏もも肉と250gの豚バラ肉。
どちらも国産で双方合わせ、750円のお支払い。
ブラジルのチキンやカナダのポークだと、
より安価ながら牛肉に比べれば安いものだ。

牛肉にしたって輸入もの、
例えば米国産のブラック・アンガスなど、
かなりのレベルで価格も抑えられているけれど、
どういうわけか、市場に出回るのは肩ロースばかり。
フィレやサーロインをトンと見掛けない。

おそらくその二部位は米国内で消費され、
本国で人気のない肩ロースのみが日本に輸出されるのだろう。
すねた言い方をすれば、
アメリカンの食べ残しをジャパニーズが処理する構図、
ちょいとばかり嘆かわしい。

東坡肉用に大根を購入しようとも思ったが、待てヨ、
高麗人参と日本の大根を一つの鍋に投入しては
呉越同舟のそしりを免れまい、よって、今回は大根をパス。

脇目も振らずに帰宅して即キッチンに立つ。
時刻は15時半を回ったところ。
加藤登紀子のCDを聴きながら包丁を砥ぎ始めた。
いざ、アラ・キュイジーヌ!

=参鶏湯=
 鶏もも肉1枚を4つに切り分け、ぶつ切りの高麗人参1本、
 長ねぎの青いところ1本分、日本酒半合とともに鍋へ。
 最弱火でおよそ1時間煮込み、味付けは塩・胡椒のみ。

=東坡肉=
 豚バラ肉を4つに切り分け、ぶつ切りの高麗人参1本、
 長ねぎの青いところ1本分、日本酒1合、適量の醤油&砂糖、
 八角(スターアニス)、丁子(クローヴ)1粒づつととともに鍋へ。
 最弱火で丸3時間煮込む。

もちろんどちらも水は必要だし、後者には差し水も―。
出汁用の長ねぎは食べない。
仕上がりは自分で言うのもなんだが、かなりの出来栄え。
これなら世話女房なんか不必要、まったくの嫁要らずですわ。
明日からはリオ五輪を振り返ります。

=おしまい=