2016年8月17日水曜日

第1427話 高麗人参に困った! (その2)

  ♪  道はときには 曲がりもするが
   曲げちゃならない 人の道
   どこへゆくのか どこへゆくのか
   銭形平次
   なんだ神田の 明神下で
   胸に思案の 胸に思案の
   月をみる              ♪
        (作詞:関沢新一)

毎週水曜午後8時、舟木一夫の歌声が
日本中の茶の間に響き渡った日は遠い。

さて、投げ銭自慢の平次が独り、
月をみたのは神田神社の石段を
下り切ったところに拡がる明神下であった。
今でもそれなりに古いたたずまいを見せて
江戸情緒の名残りをしのばせる。

通称・神田明神の神田神社は
根津神社・日枝神社・亀戸天神社・富岡八幡宮などと並んで
東京十社の一つ。
執り行う祭礼の神田祭は
山王祭・深川祭とともに江戸三大祭の一翼を担っている。
浅草の三社祭がもれているのは
なんだかなァ・・・という気持ちにさせられますけどネ。

もっとも赤坂の代わりに浅草を入れたら
神田・深川と合わせて下町チックになり過ぎるきらいがある。
江戸の繁華なエリアは江戸城の東側だったのだが
西側にも目配りしないと、均整を保つことができない。
よって、三大祭の選は正しかったのだろう。

その宵、酔いの回った二人が
胸に思案の月を見上げたのは道灌山下であった。
不忍通りを直進して数分歩けば、
谷中の隠れ家的スポット、すずらん通りが控えている。
ここには昔ながらのバー、スナック、小料理屋がズラリ。
身を置く止まり木に困ることはまずない。

それはそれとして、J.C.の脳裏をチラリかすめたのは
未だ入店したことのない1軒のスナックだった。
ロケーションは道灌山下と西日暮里駅の中間点辺り。
赤地に白く店名を記した袖看板がやけに目立つから
記憶に残っていたのだ。
M鷹サンも興味深々、よって決断、向かうことにした。

店の名を「Y」という。
初訪問の場合、入口の扉を開くには多少の勇気を必要とする。
中はどんな様子で、どんな魔物が棲んでいるのか
知れたものではないからネ。
今回は相方がドアノブに手を掛けてくれた。

=つづく=