2017年3月22日水曜日

第1584話 演歌の世界の稀勢の里 (その2)

村田英雄自身の作詞・作曲による「男の土俵」。
才能がキラリと光る名詞であり、名曲といえる。
だが、三波春夫と違って村田英雄の歌謡界デビューは
順風満帆とはほど遠いものだった。

デビューは三波の翌年の1958年で
大御所・古賀政男の手になる「無法松の一生」。
すばらしい楽曲だと思うが
聴かせどころの”度胸千両”ナシのヴァージョンだったせいか
鳴かず飛ばずの不発に終わる。

その後は戦前に活躍した歌手、
楠木繁夫が歌った「人生劇場」のリバイバルが
小ヒットしただけなのだ。
それもそうだろう、
馬喰一代だとか国定忠治、はたまた吉良の仁吉なんて
新国劇の演目みたいな曲ばかりでは
そのジャンルのファンはともかくも
一般市民はついていけないでしょうヨ。

ところが1961年の暮れ、
一つの楽曲が下積み長かった村田に光明を当てる。

  ♪    吹けば飛ぶよな 将棋の駒に
     賭けた命を 笑わば笑え
     うまれ浪花の 八百八橋
     月も知ってる 俺らの意気地  ♪
         (作詞:西條八十)

最大のヒット曲となった「王将」である。
作詞はこれも大御所、西條八十。
作曲は先頃亡くなった船村徹。
村田は自ら西條に作詞を頼みこみ、
最後は拝み倒したという逸話が残されている。

ここで例によって村田英雄のマイ・ベストテン、
といきたいところなれど、あまり聴きこんでいないため、
ベストファイブでご勘弁。

① 無法松の一生(度胸千両入り)
② 男の土俵
③ 人生劇場
④ なみだ坂
⑤ 男の一生
 次点:夫婦春秋

女千人切りを始めとして数々のエピソードを持つ村田だが
海外旅行の際、イミグレーションカードのSEX の欄に
男・女ではなく、週2回と記入したというのは
はたして真実でありましょうか?
本当だったら、まさに傑物ですな。