2019年3月8日金曜日

第2084話 鴨とすっぽん (その2)

レッサーパンダにオオアリクイ、
フンボルトペンギンにコウノトリ、
マダガスカルホシガメまでいる、
行船自然動物公園のすぐそばの「ひまわり」にいる。
グループ御一行が退去したので
客はカウンターのわれわれ2人だけとなった。

そば打ちには信州・安曇野の湧水を使用し、
化学調味料・着色料は99%不使用とのこと。
残り1%が引っ掛かるが
店主の主張したいところは理解できるような気がする。

事前調査で店の看板商品は
しっかり把握していたので注文をスッと通した。
鴨せいろとすっぽんそばだ。
すっぽんせいろと鴨そばにしなかったのにはワケがあり、
以前、京都のすっぽんの名店、
「大市」にうかがった際、すっぽんを炊く鍋には
強烈な火力が必要不可欠と聞いた。

かけつゆのほうがせいろのつけ汁より、
多少なりとも温度が高いハズ。
ぬるいと臭みが残るのではとの懸念があったのだ。
まっ、単なる素人の聞きかじりによる浅知恵ですけどネ。

運ばれたすっぽんそばには
絶対量が少ないものの、すっぽんのぶつ切りに南蛮ねぎ、
そして白い松の実と朱色の枸杞(くこ)の実が散っていた。
どんぶりは手で持てないほどに熱々。
箸を取ってしばらく・・・。
すっぽん、そば、つゆ、三拍子揃った美味しさに魅了された。

店主は京料理の店で修業した由。
誰も思いつかなかったすっぽんそばを手掛けるに当たり、
それなりの自信と確信があったのだろう。
京料理を極めるには
ふぐ・はも・すっぽんの三本柱が
クリアすべき課題だと聞いたことがある。

まかり間違えれば大きく外すリスクを背負って
生み出されたすっぽんそば。
1杯1200円で真っ当なすっぽんを味わえるなんて
いや、けっこうでありました。

それに反して・・・というほどでもないが
鴨せいろのほうはフツーの仕上がり。
こちらも1200円だから
オススメは圧倒的にすっぽんそばになる。

ちなみにビール小瓶ととりわさはどちらも500円。
金3900円を支払って
春の訪れを感じさせる陽射しの中を西葛西へ戻りました。

「手打ち蕎麦 ひまわり」
 東京都江戸川区北葛西3-1-21
 03-4084-1133