2019年3月26日火曜日

第2096話 連夜の花わさび (その2)

文京区・向丘のスパイス・バル「コザブロ」。
最寄りは南北線・本駒込で、三田線・白山も至近。
千代田線・千駄木からだって歩ける距離だが
帰りはよくとも、往きは急な上り坂となるので
年配者にはおすすめしない。

5種の前菜はスモールサイズにつき、みな少量づつ。
互いに小食だからちょうどよい。
いずれも予想通りの味わい。
特段の美味というのじゃないが
全体的にバランスがとれている。

本日のアチャールに数の子があった。
数の子がアチャールになるのかいな?
体格のよい店主から
アチャールはヒンディー語でピクルスだと教わる。

おっと、花わさびがあるじゃないか。
花わさびがインド風のピクルスになるのかいな?
店主はその体格のほかに
独創性も前面に押し出している。

それにしても前夜、青砥の「小江戸」で遭遇した花わさび。
あまり市場に出回らない葉野菜に
二晩続けて逢えるとは、
これを僥倖と呼ばずして何と言おう。

和食ではおひたしや醤油漬けなど、
素材の特徴を活かすために
あまり人の手を加えないが
インドのアチャールははたしてどんなモノであろうか。
これはぜひとも、いっとかなきゃならない。

実際はカレー風味のおひたしといった風で
わさびの香りが薄まり、
肝心の辛みはかなり飛んでしまっていた。
24時間前の醤油漬けが恋しくなるほどだから
行司ならみな、「小江戸」に軍配を挙げるだろうヨ。

「コザブロ」ではわりと珍しいベルギーのビール、
ベルビュークリークが飲める。
ベルビュー醸造所の手になる、
クリーク(さくらんぼ)ジュース入りのランピック・タイプで
ランピックは野生の酵母を活かして熟成させる発泡酒だ。

クラフトビールは滅多に口にしないが、コレは別物。
爽やかな清涼飲料水として1杯いただこうか。
クリーミーな泡を冠してルビー色の液体が
円いグラスに注がれて運ばれた。

=つづく=