2019年3月13日水曜日

第2087話 なにも言うまい 青砥の一夜 (その1)

♪    なにも言うまい 言問橋の
   水に流した あの頃は
   鐘が鳴ります 浅草月夜
   化粧なおして
   エーエーエーエ
   化粧なおして 流し唄  ♪
    (作詞:石本美由起) 

ザ・ピーナッツの演歌版といわれた、
こまどり姉妹のデビュー曲、
「浅草姉妹」がリリースされたのは1959年10月。
この年に設けられた第1回レコード大賞受賞曲は
水原弘の「黒い花びら」である。

長いブランクを経たこまどり姉妹だがここ数年、
それなりの活動をしており、
TVでもときどき見掛けるようになった。
八十路を迎えた年齢が年齢だけに
”化粧”もなおし過ぎて”くまどり姉妹”なんぞと
揶揄されたりもしている。

彼女たちの歌った「ソーラン渡り鳥」になぞらえた、
「ラーメン渡り鳥」なる曲がある。
J.C.はカラオケボックスに行くとよくこれを掛ける。
いや、歌うんじゃなくって画面に見入るのだ。

映像は映画「浅草姉妹」の一コマで
舞台は浅草の小料理屋だ。
それこそ浅草に今も残っていそうな店で
板前が沢本忠雄、若女将は稲垣美穂子。
三味線を手にした流しの歌い手がこまどり姉妹。
美しかった稲垣、可愛かったこまどりもさることながら
店内の雰囲気に懐旧の思いをくすぐられる。
こういう場所で酒盃を重ねるのが好きだ。

現在の浅草の店々を思い浮かべると、
雷門通りの「酒富士」、すし屋通りの「三岩」、
かんのん通り脇の「ひろ里」あたりに
往時のよすがをしのぶことができる。

ハナシはいきなり浅草から青砥へ飛ぶ。
京成本線と京成押上線が交わる青砥駅だが
界隈の地番は葛飾区・青戸と紛らわしい。
四ツ谷と四谷、市ヶ谷と市谷の例もあるように
もともとある難しい字や余計なカタカナは
変更されたり、省略されてしまう傾向にあるようだ。
愚かなお役所の策略によってネ。

その都度、地番は変えられ、
駅名に名を残すということで
この地は青砥が古くからある地名なのだ。
よって当話のサブタイトルには青砥を使う次第です。

=つづく=